顧客体験の演出から購買へ「蔦屋書店」「TSUTAYA」のプロモーション活用

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、全国に約700店舗を展開する「蔦屋書店」「TSUTAYA」などの店舗網を活用し、年間で1万回以上のイベントを開催している。イベントでは蔦屋書店のコンシェルジュの提案力、ライフスタイルジャンルの切り口、V会員のライフスタイルデータを組み合わせ、顧客体験を最大化しているという。

 

CCCの中岡亮時氏が3月4日、5日に開かれた「宣伝会議マーケティングサミットPREMIUM 2025」に登壇し、同社が持つ統合型のソリューションについて紹介した。

店舗で重視するのは、体験価値の向上

「CCCは企画会社」と中岡氏が語るように、ライフスタイルの提案を事業の中心に据えている。1983年、蔦屋書店 枚方店の創業に始まり、現在はグループ全体で「カルチュア・インフラ」をつくっていく会社として、SHARE LOUNGEやヨガやピラティス、アートといった会員ビジネスも展開。さらにVポイントによるデータベースマーケティングや出版、クラウドファンディング、公共事業の運営の受託と、事業領域は幅広い。

写真 人物 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)エクスペリエンス・デザイン本部 部長 中岡亮時 氏

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)エクスペリエンス・デザイン本部 部長 中岡亮時 氏

店舗づくりの鍵としていた「どれだけ多くの商品を置き、訴求するか」という価値観を、2011年の代官山 蔦屋書店オープンをきっかけに「体験価値をどれだけ感じていただけるか」にシフトした。「目の前のお客さまが、どういう形で好きになってくれるのかを軸にしたイベント企画を行ってきた」と中岡氏は紹介する。物質的な豊かさよりも、独自の体験を通してその記憶や思い出といった心の豊かさに重きを置く価値観が年々増加しているからだ。ブランドや商品の利用においても、性能だけでなく共感に基づいた行動が顕在化しているという。

CCCが主催するイベントは、年間1万件を超える。その種類も千差万別だ。店内で商品を販売する「マーケットイベント」は、以前は店内を使ったイベントが中心だったが、今は屋外イベントも行う。花火大会や夏祭り、ペットイベントなど、屋外だからこそ伝えらえる体験価値を生み出している。

書店ならではの「トークイベント」では、1日の出版物が100タイトルを超えると言われるなかで、どういう商品を消費者に一緒に楽しんでもらえるかを重視して企画している。

写真 CCC主催イベントは年間1万件超。写真はトークイベントの例

CCC主催イベントは年間1万件超。写真はトークイベントの例

雑貨メーカーとのコラボも行う「ワークショップ」は、ひと月で100件のイベントを開催する店舗もあるほどの人気コンテンツだ。その効果には「来店するきっかけが増える」「来店頻度が増える」などが挙げられており、参加者の客単価も変わってくるという。その他、音楽ライブなど「来店者の共感を招く企画」を立ち上げている。

最適な情報発信方法を提案

CCCはこうした空間を企業のプロモーションやブランディングの場として提供している。「できれば自社のブランドをお客さまに良い形で届けたい」「顧客との接点づくりを良い場所で作りたい」という企業の想いを汲み取り、商品の訴求方法も一緒に考えて企画している。必要であればインフルエンサーのアサインや情報発信方法、店舗選びまで伴走する。

イメージ 企業のニーズに合わせた顧客体験のプロデュースが可能

企業のニーズに合わせた顧客体験のプロデュースが可能

CCCによる企業プロモーションの特徴の一つが、商品の顧客接点の場とメディア向け発表会がシームレスに行われている点だ。商品を実際に手に取っている姿が目の前で見られたり、体験者のインタビューを実施できたり、などの顧客体験を軸としたメディア向けの発表会ができるため、リアルな声を拾うことができ、また発信もできる。その効果は絶大で、販売を伴う場合は1週間で1000万円以上を売り上げたケースもある。ほかにも、ブランド訴求の場合はキャラバン型、アパレルとコラボした車両展示と試乗イベントなど、ライフスタイルの提案とともにさまざまな顧客接点の場をつくり出すことができるという。

もう一つの特長が、24店舗に在籍する蔦屋書店のコンシェルジュと、さまざまな特徴を持つ店舗ブランドの存在だ。

ファッションや食、家電など専門知識を持ったコンシェルジュが、店舗運営で培ったノウハウを活用して、リアルな場を活かした顧客体験のプロデュースを行う。店舗ごとのコンセプトや特性を踏まえてターゲット層と施策を最適化した提案が可能だ。例えば近頃増加しているSHARE LOUNGEは、滞在型の場所であるがために、来店者に商品を長く触れてもらえるため、サンプリングやタッチ&トライに最適だと中岡氏は説明し「偶発的な出会いを創出できる」と強調した。

イメージ スペース提供、イベント運営以外にも様々なニーズに対応する

スペース提供、イベント運営以外にも様々なニーズに対応する

また、共通ポイントサービス「Vポイント」との連携も可能だ。セグメントした顧客にデジタル発信することや、リアルイベントを通して、参加者はどんな人なのか、ペルソナ像をアウトプットすることもできる。単なる情報発信だけではなく、その後にどんな狙いを持って商品展開をしていくのか、継続的なコミュニケーションまで立案可能となる。

続いて中岡氏は、企業プロモーションの具体事例を紹介した。

写真のおもしろさを広めることを狙いとする富士フイルムとは、山口県周南市での地域活性化のモデルケースを実現。市役所内での展示やオリジナルフレームを作るフレームフィッティングなどを展開し、多くの市民が来店、参加した。

パナソニックとの事例では、メンズシェーバーを20~40代のライフスタイルにこだわる層に向けて訴求。家電量販店では演出できない空間で顧客接点を生み出した。

ぺんてるとの事例では、大人向けクレヨンの認知度拡大から市場ニーズの検証までを実施。クラウドファンディングを活用し、目標を大幅達成した。アートのある生活を想起させる展示や、メディア発表会、ワークショップを同時開催した。

ユナイテッドアローズとの事例では、ポップアップが好評だったため、全国展開することに。ブランド認知の向上と商品の接触機会の創出に成功し、販売員がいない中で想定を超える売上を構築した。

中岡氏は「CCCでは一気通貫でオフとオンを連携してリアルな場での顧客接点をつくることができる。本当に届けたいお客さまに、より共感を得られる接点の場を創出できる」と締めくくった。

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お問い合わせ

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

エクスペリエンス・デザイン事業本部
media_design@ccc.co.jp


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