生活者に届く前に勝負が決まる!? ──AI検索(AIO)時代にブランドが取るべき最適化の全体像

AIは生活者の情報収集、購買行動を大きく変えていこうとしています。本連載では、主に購買行動に焦点を当てて、AIによる生活者変化を捉えていきます。前回は、『買物のAI活用が日常化――生活者が信頼する“新しいメディア”へ』をテーマに記事を公開。今回は、「AI検索時代の『AIO対策』」をテーマに博報堂買物研究所 副所長の飯島拓海氏が、Hakuhodo DY ONEのONE-AIO Lab所長 登 章良氏に最新のトレンドを聞きました。

Webサイトの流入を襲うゼロクリック検索の波

飯島:博報堂買物研究所の生活者調査や日々の肌感覚を見ていても、生成AIの台頭以降、「自分で検索する頻度が減った」「口コミレビューよりAIの回答を信頼する」と回答する人が確実に増えています。生活者が検索エンジンを離れ、まずAIに相談してそこから購買行動をスタートさせる「DREAMモデル」が浸透しつつあると感じています。こうした生活者の行動変容に伴い、企業のマーケティング活動の前提となるWebサイトのトラフィックや検索行動には、今具体的にどのような変化が起きているのでしょうか。

:私たちが立ち上げた「ONE-AIO Lab」でも、AI検索の普及に伴う生活者の行動変容、アルゴリズムの分析、事業成長支援などのR&Dを続けていますが、トラフィックへの影響は業界の市場構造やキーワードの性質によって明確に濃淡が出ています。

AI検索の台頭による変化は、大きく2つに分けて考える必要があります。ひとつはGoogleの「AI Overviews」のような従来型検索エンジンの進化。もうひとつは、ChatGPT、Gemini、Perplexityといった新興のAI検索エンジンです。現時点でトラフィック減少に影響を色濃く与えているのは、主に前者(従来型検索エンジン)側です。

当社で従来型検索とAI検索エンジンのトラフィック総量を調査したところ、AI検索のトラフィックは前年比で約3倍近く急成長しているものの、検索プラットフォーム全体のポートフォリオのなかでは限定的です。(2026年4月時点)

昨今、AI検索の台頭に伴い、Webサイトの流入が減ったと話題になっておりますが、Webサイトのトラフィックに大きく影響を与えている点については、検索プラットフォーム全体の傾向を踏まえると、Googleの「AI Overviews」の影響が大きい見込みです。

特に直撃を受けているのが、情報収集系のクエリ、私たちが「Know系クエリ」と呼んでいる領域です。

AI Overviewsの表示状況

AI Overviewsの表示状況
キーワードを軸とした購買ファネルにおける①Knowクエリ、②Doクエリ、③Goクエリの分類と、AI Overviews表示率の調査結果グラフ。Knowクエリの表示率が最も高い傾向を示す図 (「ONE-AIO Lab」提供)

: 例えば、「DXとは何か」「DXの始め方」といった、知識や情報を得るための検索(Knowクエリ)がこれに該当します。2024年に国内でもGoogleの「AI Overviews」が表示されるようになって以降、こうしたKnowクエリにおいては、検索結果の1位を維持し続けているキーワードであっても、クリック率(CTR)が最上部で40%ほど減少する事例なども確認しております。

飯島: 検索結果の最上部にAIが要約した答えを出してしまうため、生活者がわざわざ下のURLをクリックしなくなる「ゼロクリックサーチ」の現象ですね。

:その通りです。そのため、流入のポートフォリオが情報収集系のクエリに偏っているメディアサイトやオウンドメディアは、大きな影響を受けやすい傾向です。

一方で、企業のマーケターの方々に冷静に捉えていただきたい重要なファクトもあります。実は「流入数が大幅に減った」と頭を抱える企業であっても、データを見ると「コンバージョン数(実際の購買や申し込み数)自体には、そこまで大きな悪影響は出ていない」というケースが多いのです。つまり、AIによって削られたトラフィックの多くは、もともとコンバージョンへのモチベーションが低い潜在層だった、という側面もあります。

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