左から、国立冬樹氏(データ・ワン 代表取締役社長)、石橋正人氏(TBS・JNN NEWS DIG合同会社 ビジネスプロデューサー)、高橋正和氏(三井不動産 イノベーション推進本部 プロジェクトリーダー)
自社が持つアセットをどう「メディア化」したのか?
――まず、皆さんの現在の取り組みについてご紹介いただけますか。
高橋氏:三井不動産の中で、街や商業施設、オフィスビルといった都市アセットをメディア化する新たな挑戦を始めました。もともと僕はバスクリンでマーケターとして10年ほど経験を積み、その後、三井住友銀行、スタートアップのCMOを経て三井不動産に来ました。マーケターの目線で不動産デベロッパーのアセットを見直したとき、「これだけ顧客接点があるのに、メディアになっていない」と感じたんです。住まいもある、オフィスもある。生活の動線そのものをメディアにすることができると考え、社内の新事業提案プロジェクトに応募して、最終の社長審査を突破しました。
最初に手掛けた案件として印象的だったのは、箱根駅伝のタイミングで行ったアディダスさんとのプロジェクトです。青学の選手を応援・協賛されていたアディダスさんと組んで、10区のコース沿いにある中央区の物件をメディアにしてシューズを掲出したんです。地下鉄の広告枠とは違って、ビル側との内部調整をして上からゴンドラを垂らして……本当に大変でしたが、選手の応援団の熱狂とともに「この瞬間だけ特別になる」体験が生まれました。東京ミッドタウン八重洲の全面500~600平米の装飾等と合わせて、特注でやらせていただきました。
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さらに、今年のワールドカップではみずほ銀行の渋谷支店をはじめ、銀行本部の各関連部署に交渉して回り、壁面を借り受けてアディダスのプロモーションも実施しました。私が以前銀行に勤めていたので、銀行業のことをよく分かっていたことが交渉を前に進める助けになりました。
また今年5月には、国内最大級の3D屋外広告メディア「SHIBUYA PARK VISION」の開発を発表しました。「SHIBUYA PARK VISION」は、三井不動産の管理物件ではない一般ビルもオーナーの方に交渉し、組み込めたことが特長です。
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国立氏:私はもともと伊藤忠商事にいまして、ファミリーマートのリテールメディア事業を推進するために、2020年・2021年年に「データ・ワン」と「ゲート・ワン」という2つの専門会社が立ち上げを担当しました。軸になるアセットは「メディア」と「データ」の2つです。
データの面では、ファミリーマートにとどまらず、ドン・キホーテさん、大手ドラッグストア5社とデータアライアンスを組み、6000万IDほどの「誰がいつ何を買っているか」を把握できるビッグデータインフラをつくってきました。
もうひとつが「ファミマTV」です。ファミリーマートの店内に3面のデジタルサイネージを、今や11,000店舗以上に展開しています。このメディアでは、トレンド情報を配信する一環として、タレントさんとコラボしたオリジナル番組を制作・配信しています(ファミリーマートのPB商品にひと手間加えた夜食レシピの紹介やおすすめ映画の紹介など)。
さらに今は「ファミマまるごとメディア戦略」を打ち出して、サイネージだけでなく、アプリ、売場、駐車場、店舗の外壁ラッピングまで、すべてのタッチポイントをメディアとして捉え直しています。例えば自動車の試乗会をファミマの駐車場で開催したところ、数十台売れた事例もありました。コンビニって、お弁当を買う場所じゃなくて、商品やサービスを体験して購買行動を起こす「リアルのマーケットプレイス」として再定義できるのではないかと考えています。
石橋氏:私はもともと映像制作会社、イベント会社、広告会社を経て、2011年にGoogleへ入りました。そこでYouTubeの広告セールスに従事し、2018年にTBSテレビに入りました。最初は、無料動画配信サービスの広告セールスに関わり、今はTBS・JNN NEWS DIG合同会社に出向し、ニュースメディアの事業開発をしています。
北海道から沖縄まで、JNN28局のニュースを束ねたプラットフォームを立ち上げ、今や月間3億超のページビュー、4500万ユーザー規模のメディアになっています。テキストのニュースメディアとしては大手新聞社や出版社と並ぶ規模に成長しました。
その上でいま、注力しているのが、タイアップ広告の開発です。各系列局が地元のスポンサーのところへ取材に行き、信頼関係の中でコンテンツを作って、このメディアに載せる。1年目は20件で大半はTBSでしたが、昨年度は約50件のうち3分の2が系列局、今年度は決まっているほとんどが系列局発案のものになっています。
