日本の4分の1は「無書店自治体」…書店減でも「本を選ぶ楽しさ」を ポプラ社が郵便局と初タッグ

子どもたちに本を選ぶ楽しさを——。全国で書店が次々と姿を消す中、子どもたちが本に触れる機会をつくろうと、主に児童書を扱うポプラ社の本が郵便局の窓口で試行販売される。選ばれた場所は福島県の郵便局4局。選ぶ楽しさ、本を通じたコミュニケーションの醸成への思いを込め、本を届ける。

「本をめぐる状況はなかなかに厳しい」と話すのは、ポプラ社社長室室長で営業本部副本部長の佐藤久美氏。デジタル化、電子ブックやオンライン書店の登場、本離れなど、様々な要因が重なり、全国で書店が減り続けている。日本出版インフラセンターによると、全国の書店数は2025年度末で9993店と、1万店を割った。また、出版文化産業振興財団によると、新刊を取り扱う書店が市町村の中に1軒もない「無書店自治体」は同年度末で29.3%と、全国の市区町村の4分の1以上に達している。子どもと児童書の接点の喪失や読書機会の減少を危惧していたときに、児童書の販売についてポプラ社に連携を呼びかけてきたのが、日本郵便だった。

郵便局で販売される児童書の一例

郵便局で販売される児童書の一例

日本郵便の提案を受け、どのような形なら子どもたちが本に触れられる環境をつくることができるかを議論し、郵便局の物販という形で児童書を郵便局に置くことを提案。これまで、コンビニで一時的に本を販売したことはあったが、書店以外で児童書を販売する常設の場を設けるのは初めてだ。場所についても、東日本大震災で被災して書店が廃業したり、移転したりとの理由で書店数が少ない福島県の浪江町や南相馬市、新地町の4局を選んだ。

郵便局では、7月22日から2027年3月31日まで販売。管理する郵便局職員の負担が少なく、かつ、子どもたちが自由に見られるような仕組みにするため、「回転塔」という什器をポプラ社から貸し出して各局に設置する予定だ。客は書店と同じように自由に手に取って選ぶことができ、局内の他の商品と同様に窓口で購入できる。

本が並ぶ回転塔(実際とは仕様が異なる可能性あり)

本が並ぶ回転塔(実際とは仕様が異なる可能性あり)

この取り組みをポプラ社のXのアカウントから投稿したところ、多くの反応が寄せられた。「限界集落ギリギリの地域出身として嬉しい限り」「手に取ることで購買意欲もわいてくる」などと好評で、「背中を押していただけるようなコメントをいただけた」と、佐藤氏は顔をほころばせる。歓迎のコメントだけでなく、郵便局に絵本があれば購入してすぐにプレゼントとして送ることができるといった提案や、「読書感想文コンクールの課題図書が郵便局に並んだらうれしい」というユーザー目線の要望も届いた。また、版元や同業他社の出版社からも取り組みに対して好意的な声があったという。

ポプラ社のXへの投稿には、期待や要望が寄せられた

今後、試行販売を通して需要などを踏まえ、他地域への拡大も検討する。「本を選ぶ楽しさには、言い表せない価値がある」と佐藤氏。オンラインで誰かが頼んだものだけを参考に買うのではなく、数ある中から自分で手に取って選ぶ楽しさを感じてほしい。友達と一緒に会話をしたり、貸し借りをしたりして楽しんでほしい。遠く離れた家族に本を送り、それをきっかけにやり取りが増えたらいい。佐藤氏は、こうした本の先にあるコミュニケーションの活性化にも期待しており、地域への貢献につながればと考えている。

本を楽しみにしている子どもたちへ。「ぜひ、郵便局に足を運んで、お気に入りの本を見つけてくださいね」。

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