食品大手のネスレは、世界で販売する自社の商品について、年内に合成着色料の使用をやめる。ロイター通信が、ネスレの最高技術責任者シュテファン・パルツァー氏の発言として報じた。食品大手としては初の試みとみられる。合成着色料を巡っては、米食品医薬品局(FDA)が2026年末までに石油由来の着色料全ての食品利用を段階的に廃止する方針を発表したり、米食品大手が相次いで使用をやめる方針を示したりしている。
米国では2025年、トランプ政権のロバート・ケネディ・ジュニア保健福祉省長官が食品製造大手企業の幹部と会談したのを受け、保健福祉省(HHS)と食品医薬品局(FDA)が、石油由来の合成着色料を段階的に廃止する方針を発表。この発表を受け、同年には、ネスレの米国法人ネスレUSAが2026年半ばまでに米国で販売する食品や飲料製品について合成着色料の使用を完全にやめると明らかにした。また、ペプシコが2025年末までに同社のスナックブランド商品への合成着色料の使用を中止すると発表。その後も、クラフト・ハインツが2027年末までに米国で販売される製品への合成着色料の使用中止を明示するなどと続いていた。
(左)ペプシコの商品(右)クラフト・ハインツの商品
欧州連合(EU)も厳しく規制しており、多くのヨーロッパのブランドは合成着色料の代わりに天然の着色料を使用している。欧州食品安全機関(EFSA)は、Webサイトに「食品着色料は、スナック菓子、マーガリン、チーズ、ジャム、ゼリー、デザート、飲料など、多くの食品に含まれている」と明示している。
今回、全世界の自社商品で合成着色料の使用をやめるとしたネスレのパルツァー氏は「消費者は人工的な原材料を好まず、よりシンプルなものを求めている」とし、同社は天然素材へ切り替える研究開発を進めてきたとしている。
世界的に食品添加物の規制が強化される中で、各国に輸出する日本企業は注意が必要とされる。日本貿易振興機構(ジェトロ)は、2026年3月のレポートで、米国向けの農林水産物・食品が急拡大する一方、米国の規制が厳しくなっていることを指摘。トランプ米大統領は2025年1月の就任後から「Make America Healthy Again」を掲げており、ケネディ・ジュニア長官もそれに従っている。また、米国の25以上の州が合成着色料や食品化学添加物の新たな禁止を検討しているという。
全米でいち早く食品添加物規制を導入したカリフォルニア州では2025年12月に、食品企業10社が超加工食品の開発と販売により公衆衛生上の危機を招いたとして、行政から提訴される事案も発生している。ジェトロは「州によってより厳しい規制や罰則規定を導入する可能性もあるので、注意が必要」と警鐘を鳴らす。また、「米国は日本の農林水産物・食品の有望な輸出先だが、食品規制強化を巡る動きは変化も多く、その動向に注視が必要」としている。



