ヨーロッパを襲った“熱波”の影響で、カンヌ開催中も暑い日が続いた。
論理とプロセスの共有によって、正解を求めていたコンサルティングの世界は今、なぜクリエイティブという一見、計算不可能な領域にチャレンジしているのだろうか。
今回のカンヌライオンズ視察を通じてその一端が見えてきた気がする。人間かAIか、財務か非財務、効率かブランドかという不毛な対立構造の終焉を感じた。
信じる正解が各ステークホルダーで違う中で、違いを求め合いその上でリスペクトを持ち、それぞれの良さを取り入れながらも互いに染み出していくのが良いのではないか。そのような仮説を持ち、クリエイティブ世界の住人からコンサルティングの世界の住人として転居した私にとって2026年のカンヌライオンズに背中を押されるような印象を持った。
私のこれまでのキャリアは、広告会社にて媒体局、営業局でキャリアをスタートし、社会人11年目の転機に一転してクリエイティブ局に転じた。30代から40代半ばをクリエイターとして過ごしたのち、2025年1月にコンサルティング会社のベイカレントに入社。今はコンサルティングとクリエイティブの融合を目指している。
コンサルもクリエイティブも「帯に短し、襷に長し」
ベイカレント インタラクティブGr.リード クリエイティブディレクター 田中寿(カンヌの帰国直後に撮影をしたため、少々日焼けをしている)。
思えば自身の生い立ちは、父が銀行員、母が芸術一家の環境で育った。まさに数字を愛するものと、感性を愛する者の間で幼少期を過ごした。
そんなハイブリッドの育成環境が影響したのか、人生の折り返し時点として、社会人になってからしばらく身を置いていた感性を愛する環境から急に数字を愛するコンサルという世界を覗きたくなったのだと今になって思う。
アドタイの読者の皆さまにおかれましては、感性を愛する方々がマジョリティだと思いますので、ここで少しコンサルタントのお仕事をご紹介させてください。
私はベイカレントに入社後、クリエイティブディレクターという肩書を捨ててしばらくコンサルタントとして仕事をしていました。どうせやるならどっぷり浸かりたかったからです。また、異分子の仲間として同じ価値観を持ち同じ釜の飯を食べる必要があったから。今思うとこの気づきが非常に良かったといえる。

