7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1と推定される「令和8年熊本地震」が発生した。大規模災害の発生直後、企業には従業員や来訪者の安全確認をはじめ、施設の被害、生産や物流、店舗営業への影響など、複数の対応が同時に求められる。
一方、災害時の判断や情報発信が、「従業員の安全を軽視している」「必要な情報を出していない」と受け取られ、批判につながった事例もある。過去の事例から、企業広報にも共通する注意点を整理する。
災害発生時の企業対応(ChatGPTにより作成)
従業員の安全より営業を優先しない
2018年9月、台風21号の暴風が吹き荒れる中、ドミノ・ピザの配達員がバイクごと横転し、道路上で立ち往生する動画がSNSで拡散した。「さすがにこの台風での配達は無謀」「スタッフが気の毒」といった声が相次ぎ、配達員個人ではなく、危険な状況で営業を続けた企業側の姿勢に批判が向けられた。
同社はメディアの取材に対し、「安全基準に則り各店舗を営業しています」と回答した。一方、同じ取材を受けた他のピザチェーンは、営業や配達を中止する際の判断基準、店舗への指示などを具体的に説明していた。各社の回答が並べて報じられたことで、ドミノ・ピザの説明の少なさが目立つ結果となった。
広報コンサルタントの鶴野充茂氏は、「宅配ピザ店にとって、荒天時は稼ぎ時なのだという。それに加えてフランチャイズ型の場合、オーナーや店長に判断を委ねる要素も大きいのかもしれない」と事情を推察した。
その上で、「しかしそれも理解した上で、それぞれのレベルでしっかりとした災害時の方針を持ち、見直しを続けながらスタッフの安全配慮に十分注意した最適な運用の形を模索していく必要性が高まっている」と指摘している。
災害時には、営業を続けるかどうかの判断そのものが企業の姿勢を示す。「現場に任せている」「基準に沿っている」と説明するだけでは、どのような危険を想定し、従業員をどう守ったのかは伝わらない。営業を停止した店舗や配達を中止する条件、従業員の安否など、実際に行った対応を具体的に示す必要がある。
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Webサイトへの掲載だけで終わらせない
災害によって重大事故が起きる可能性のある発電所などでは、情報の更新頻度や発信経路も厳しく問われる。
2022年3月16日、福島県沖を震源とする地震で最大震度6強を観測した際、東京電力ホールディングスは午後11時53分、当時のTwitterに、地震による同社設備への影響を確認していると投稿した。しかし、次の投稿は約2時間半後だった。内容も、福島第一・第二原子力発電所の状況について、「当社HPでお知らせしております」と案内するものにとどまった。
翌17日の会見では、松野博一官房長官(当時)が、東京電力に対してタイムリーに情報を発信するよう指導したことを明らかにした。
東京電力は原子力発電所の状況をWebサイトに掲載していたものの、Twitterでは内容を直接説明せず、Webサイトへ誘導するだけだった。鶴野氏は、官房長官の指導について、情報をWebサイトに掲載するだけでは不十分という意味に捉えるのが妥当だと指摘している。
災害時には企業のWebサイトにアクセスが集中し、ページが開きにくくなる可能性がある。鶴野氏は、プレスリリース、Webサイト、SNSでの発信を連動させるほか、アクセス集中に備え、SNSにも緊急情報を画像で掲載することなどを挙げている。
