ホラーイベントの企画・制作を手がける「闇」は、体験型展覧会「記憶汚染展」をBEAMギャラリー(東京・渋谷)で開催している。マンデラエフェクトやAIによるハルシネーション、証言と記録のずれなどを題材に、「記憶はどこまで信じられるのか」を来場者自身に問いかける内容だ。会期は9月6日まで。
8月2日に始まり、21日時点の来場者は約3万人。期間中の来場目標は5万人に設定しており、目標達成に向けて順調なペースで推移しているという。開催前に公開したWebコンテンツ「記憶能力に関するテスト」も20万回以上実施された。
近年、企業や商業施設がホラーを活用したイベントを展開する例が増えている。闇は今夏、龍角散が展示会場に開設するお化け屋敷、大丸東京店のXRホラー「迷界デパート」、パルコの「残響シ念展」も手がけた。
この夏に闇が手掛けた「ホラーイベント」、この他に龍角散のイベントも行った。
同じホラーでも、商品を夏に思い出してもらうための短時間体験、百貨店への来店を促すXR、商業施設独自の世界観を表現する展覧会など、目的によって「怖さ」のつくり方は異なる。
企業はなぜホラーを自社イベントに取り入れるのか。闇の髙田将志氏(「記憶汚染展」総合プロデューサー)と、濱田瑠衣氏(「迷界デパート」などのプロデューサー)に聞いた。
企業から増える「人を呼べる」ホラーへの相談
闇への相談は、件数だけでなく内容の幅も広がっている。髙田氏が特に増えたと感じるのが、商業施設やイベント会場からの問い合わせだ。東京での開催実績を受けた地方巡回に加え、アジア圏からも相談が寄せられているという。
髙田氏によると、相談では集客力を期待されるケースが多い。「行方不明展」「恐怖心展」が累計約40万人を動員した実績を踏まえ、闇との協業を検討する企業もある。
髙田氏は、スマートフォンの画面で多くのことが完結する時代だからこそ、会場へ出向き、自分の体で非日常を経験することに価値が生まれているとみる。ホラーは「怖い」「不気味」「嫌だ」といった感情を他者と共有しやすいとも話す。
濱田氏は、若年層にホラーが広がる理由について「個人的な仮説」と前置きしたうえで、怖がる姿が「格好悪いもの」ではなく、その反応自体を周囲が楽しむコンテンツに変わったことを挙げる。複数人で一緒に怖がることがストレス発散になるほか、コンテンツがあふれ、刺激に慣れた人にもホラーの強いインパクトは届きやすいのではないかとみている。
