ワークマン社長がまさかの否定、リカバリーウェア「完全勝利宣言」 “欠品地獄” を乗り超えた「メディヒール」、強気発言の裏に隠れた “苦難の道のり”

ワークマンが、リカバリーウェア市場で「完全勝利」を宣言した。専務取締役の土屋哲雄氏が根拠として挙げたのは、販売数量で業界トップとなったことに加え、同社が示した外部調査でブランド認知率が前年の2位から1位へ上昇し、使用率も1位を維持したことだ。

リカバリーウェア「MEDiHEAL(メディヒール)」は、2026年1月以降の累計販売数が1200万着に到達。同年は最大3400万着・500億円規模まで対応できる供給体制を整えた。

本格展開から約1年。メディヒールは、機能性と業界最安級の価格を武器に、急速に存在感を高めてきた。だが、取材に応じた代表取締役社長の大内康二氏からは、勝者の高揚感よりも冷静さがにじんだ。

写真 大内康二社長

ワークマン代表取締役社長の大内康二氏

「販売枚数という意味では『勝利』とも言える。ただ、『そこで勝ったから何なんだ』という思いが正直ある」

なぜメディヒールは、これほど支持されたのか。そして、なぜ大内氏は勝利そのものを目的としないのか。強気な宣言の裏にある、ワークマンの本音を聞いた。

「働けば疲れる」から始まった

アスリート向けなどで知られてきたリカバリーウェアは近年、就寝時や自宅、仕事中にも着る身近な商品へと用途を広げている。

写真 リカバリーウェア「メディヒール」

リカバリーウェア「メディヒール」

ブームの中心にあるのは、生地に鉱物などの特殊加工を施し、遠赤外線の血行促進作用によって疲労や筋肉のこりなどを改善する一般医療機器だ。2022年には「家庭用遠赤外線血行促進用衣」という区分が新設され、商品の位置付けも明確になった。

ブームを追い風に、異業種からの参入も相次ぐ。紳士服のAOKIは2022年に「RECOVERY CARE+」を発売し、2024年には仕事中にも着られるスーツ型へ展開。美容・健康機器を手がけるMTGは2025年7月に「ReD」を立ち上げ、家具・生活用品のニトリも2026年2月に「Nミラク」の販売を始めた。

高価格帯の専業ブランドが中心だった市場に、身近な店舗で買える商品が相次いで登場。用途も「眠る時に着るもの」から「一日中着るもの」へと広がりつつある。

こうした参入ラッシュの中で存在感を高めたメディヒールだが、昨今のブームを見て急きょ開発した商品ではないという。その背景には、作業服を扱う会社として、働く人の疲れや体への負担に向き合ってきたワークマンの蓄積がある。

大内社長は「作業をすれば疲れるし、腰を痛めたり、日焼けしたりもする。私たちは作業する人たちの環境と疲労が分かるので、それにどう対応すればいいのかを考えてきた」と強調。ワークマンの商品開発は当初、暑さや寒さといった作業環境への対策が中心だった。そこから働く人の体への負担まで掘り下げ、疲労回復や腰痛、日焼けなどに対応する「ヘルスケア」の商品を開発してきたという。

メディヒールの起点となったのは、2021年春夏に発売した作業者向けのコンプレッションインナーだ。発想の出発点は、「働くと疲れる。働きながら疲労回復できたらいい」というものだった。

当初から爆発的に売れたわけではない。それでも一定の需要があったため継続商品として残し、その後、生地を変えてルームウェアへ展開。2025年9月1日から一般客向けの販売を本格化し、約4カ月で販売点数約319万点、販売金額約55億円を達成した。

マスマーケティングにも力を入れ、3月には約6年ぶりのテレビCMを公開。タレントを起用したCMとしては約13年ぶりで、陸上十種競技の元日本チャンピオンでタレントの武井壮と、元女子レスリング選手の吉田沙保里を起用した。

大内社長は、支持された理由を機能性と低価格だけではないとみる。作業服から始まり、働く人の悩みに応える服を長年つくり続けてきたこと。その積み重ねによって生まれたワークマンへの信用が、「一番大きいのではないか」と分析する。

日本に届いても「3日でなくなる」

 

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