“リンク” というより “ガノン”  トランプ政権の日本IP無断利用、この1年で9回以上──ゼルダ、ポケモン、遊戯王まで巻き込む政治利用問題の現在地

9月9日、ホワイトハウス公式Xに1本の動画が投稿された。

一見すると任天堂の名作ゲーム『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のロゴに見えるが、タイトルは「THE LEGEND OF TRUMP MAKE AMERICA GREAT AGAIN」となっている。動画にはゼルダの伝説の主人公「リンク」の代わりに、ローポリゴン調で描かれたトランプ大統領が登場。BGMや効果音、UIに至るまで、同作をほうふつとさせる要素がちりばめられていた。

写真 動画のロゴ

ホワイトハウス公式Xが9月9日に投稿した動画のロゴ

タイミングは、任天堂が同作のリメイクを発表した「Nintendo Direct」の直後。現時点で任天堂の公式コメントはなく、許諾の有無も不明のままだ。SNSでは多くの批判が寄せられ、トランプ氏を「リンク」ではなく、同作の悪役である「ガノン」に例える声も上がった。

トランプ政権のSNSアカウントや関連する政府機関は、2025年秋以降、日本のポップカルチャーのIP(知的財産)を繰り返し政治コンテンツに使用してきた。権利者が「許諾していない」と声明を出しても、次の事例が生まれる。約一年にわたる事例を時系列で追った。

始まりは「Gotta Catch ‘Em All.」──ポケモンとICEの拘束映像

権利者が明確に「許諾していない」と声明を出した最初の事例として広く記録されているのが、2025年9月23日の投稿だ。米国土安全保障省(DHS)の公式Xに、ICE(移民・関税執行局)による拘束・国外退去の映像とともに、ポケモンのアニメ映像、英語版主題歌「Gotta Catch ‘Em All」、そして逮捕者を模したポケモンカードが組み合わされた動画が公開された。

The Pokémon Company Internationalはすみやかに声明を発表。「当社はこのコンテンツの制作・配布に一切関与しておらず、知的財産の使用を許諾していない」と明言した。本件は、権利者が最も明確に「無断使用」を否定した事例として、その後の議論の出発点になっている。

同年3月には、ホワイトハウス公式Xがスタジオジブリ風のAI生成画像を移民逮捕の場面に使用した先例があるが、ジブリ自身の公式抗議は確認されていない。

日本人アーティストの個人作品にも「1億人を国外追放した後の米国」

2026年1月1日には、DHSの公式Xが、日本人アーティスト・永井博氏の作品を無断で使用した。浜辺と車を描いたイラストに「1億人を国外追放した後の米国」という文字を重ねた投稿で、永井氏は自身のXで「許可なく絵が使われています」と訴えた。

DHSはガーディアン紙の取材に対し、「あらゆる手段(every tool at its disposal)を使って国民に情報を届け続ける」という趣旨のコメントを示し、投稿を削除しなかった。政府機関が権利者の抗議を受けてもなお削除しないという姿勢は、以降の対応にも一貫して表れることになる。

ポケモンへの2度目──「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」に改変されたロゴ

 

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