キリンホールディングスは10月28日、グループの新たなオウンドメディア「KIRINK(キリンク)」を公開した。従来個別に運用してきたストーリー型コンテンツ「キリンジャーナル」と「KIRINto」を順次クローズして一本化。同社が2026年2月に発表した長期経営構想「Innovate2035!」が描く未来への共感を広げ、「世界を元気にする」企業としての信頼と期待を高める狙いだ。
媒体名の6文字目に加わった「K」は、“次のKIRIN” の頭文字であり、キリングループの未来につながる兆しや、まだ形になっていない可能性を表しているという。
同メディアの大きな特徴は、オウンドメディアとインターナルコミュニケーションを一体で捉えている点にある。社内で生まれた挑戦を社外へ届け、そこで得られた共感や評価が従業員の誇りや次の挑戦を後押しする「ミラー効果」を狙う。さらに、日本国内にとどまらず海外グループ会社やステークホルダーも見据え、日本語・英語の2言語で発信する。
メディア・コンセプト設計はマガジンハウス、企画・編集はマガジンハウスと日経BP、デザイン・開発はシフトブレインが担当した。公開時の連載ラインアップとしては、南方健志社長の動画インタビューを掲載した経営トップ連載「From Leaders」をはじめ、多様なゲストと未来への問いを深める対談企画「キリンの宿題」、プラズマ乳酸菌の可能性に迫る現場ルポ「新しいが生まれる現場」などを軸に展開している。
情報過多の時代に、なぜ統合に踏み切り、どのような基準でコンテンツを編み出しているのか。メディアの立ち上げを担ったキリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部の平山高敏氏に、企画の判断基準やデザインの言語化、AI時代における広報・編集者の姿勢について聞いた。
「KIRINK」メディア設計と編集の裏側
━━さまざまな素材がある中で、読者の関心を惹く切り口をどう見出しているのでしょうか。編集会議や企画段階での着眼点を教えてください。
平山氏:まずメディア全体の前提として、長期経営構想「Innovate2035!」で掲げている「人と技術の力でイノベーションを起こし続けるCSV先進企業として世界をもっと元気にしている」というビジョンを軸にしています。KIRINKを通じて形成したいパーセプションや、現状不足している認知などをもとに、全体のコンテンツバランスを見ています。
そのうえで、社内からの依頼やオウンドチームの起案においても共通のフォーマットを用い、企画の可否を検討するステップを設けています。具体的には「ソーシャル」「プロセス」「パーソナル」の3つの視点をベースに、以下の項目で企画を精査しています。
・どんな社会課題を解決したいのか?
(社会の中の会社であるというCSVのスタンス)
・キリンならではのユニークネスがあるか?
(他社にはない独自の技術・視点・資産)
・試行錯誤のプロセスを含めたストーリーがあるか?
(個人のこだわり/社外とのつながり/社会課題に向き合う姿勢等)
・なぜその人が語る必要があるのか?
(その研究分野の第一人者/業界を牽引している/開発の中心人物等)
・どんな将来像を描いているか?
(個人・組織の未来視座をフィジカルに語れるか)
一方で、単なる自社礼賛や販促に近いトーンのものは企画化しません。そこまで含めて、メディアとしての姿勢を明確にしています。

