進むプロジェクションマッピングのマーケティング活用
第64回さっぽろ雪まつり(2月5~11日)で実施されていたプロジェクションマッピング「白クマの親子がつむぐ北の大地の物語」の放映が10日以降中止された。中止の理由は来場者が予想を上回り、安全管理が難しくなったためであるという。
似たような事例が12月に東京駅前で行われた「東京ミチテラス」(12月21〜28日)の「Tokyo Hikari Vision」、同じく東京駅で昨年9月に開かれた「TOKYO STATION VISION」でもあったのを覚えている方も多いであろう。こちらも同じく多くの観客が押し寄せ、安全確保が難しいとの判断から中止されたのである。
クリスマスと雪まつりという大きなイベントで無料で鑑賞できるので、多くの人が殺到したという背景はあるだろう。しかし、今までの立体表現をしてきた技術である3D、ホログラムやARにこれほどに人々を魅了することはあっただろうか?国内のプロジェクションマッピング事例に関するNaverまとめがあるのでそちらも参照されたい。
人々を魅了するからにはそれを広告に使いたいと思うのがマーケターの常であろう、調べてみると実際にそのような事例も徐々に増えてきているようである。プロジェクションマッピングな日々というサイトの中には数々の事例がまとめられており、非常に面白いので是非参照されたい、筆者は携帯電話や靴に投影するものが非常に面白いと思う。商用ではシルク・ドゥ・ソレイユ公認のエンターテインメント集団シルク・エロワーズが上演するスーパーサーカス『iD』でプロジェクションマッピングをサーカスと融合させるということである。
さらなる技術革新が可能性を広げる
しかし、これらの広告には広く使うためにいくつかの問題がある。まずはリーチできる人数であるが、プロジェクションマッピングは立体物に計算された画像を一定の条件で映写する必要があるので、同時に見る人数が限られてしまうという点がある。映像の制作にはそれ相応の費用も掛かることから、コスト効率を上げるにはリーチを増やすことが不可欠である。そのためには企業のホームページなどのオウンドメディアやYouTubeなどのソーシャルメディアに掲載して見てもらうことは可能なのでこうしたリーチを増やす取り組みは重要であろう。しかし、最大のインパクトは実際に生で見た場合に起こるであろうと考えられる。
二つ目は立体物に外側から照射するので、映写物との距離が必要で場所が取れない場合にそのプロジェクションマッピングを見られる人数や見られる場所がやはり限られてしまうということにある。これらを解消し、汎用的に広告に活用するために筆者は二つの手法を考えた。まだまだ実用には遠い、あるいは既に実用化に向けての動きがあるかもしれないのであるが、いつの日かの実現を願って以下に記すこととする。
一つ目の方法は、例えば半透明の立体に内側から照射するという技術であろう。内側からのプロジェクションによりユーザーはどの位置から見ても投影を遮ることがなく見ることができるので、立体物を変更する必要があるものの汎用的な広告展示スペースとしてあらゆる場所へ展開可能になってゆくと考えられる。この技術ができれば店頭の展示物など多くの活用が可能であると考えられる。
もう一つが、立体スクリーンの開発であろう。例えばスクリーンを複数の立方体で構成し、それらの長さを変えることによって立体を構成できれば、それに応じた映像を照射することによってプロジェクションマッピングがダイナミックに展開できるのではないだろうか? 映画館のスクリーンに採用すればプロジェクションマッピング3D映画なども実現可能になるであろうしデジタルOOHへの活用も可能かもしれない。メガネなどが必要なく、インパクトのあるプロジェクションマッピングの施策が発展することによってマーケティングの新しい可能性は確実に広がっており、花火のようにイベント時だけではなく汎用的に活用できる手法としての発展を願っている。
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