平成25年度の政府予算案、地球温暖化対策関係8276億円の3割強が復興関連

環境省は、3月22日、平成25年度地球温暖化対策関係予算案の額を集計した結果を発表した。「2020年までに温室効果ガス削減に効果があるもの」が3,309億円、「2021年以降に温室効果ガス削減に効果があるもの」が1,534億円、「その他結果として温室効果ガスの削減に資するもの」が2,670億円、「基盤的施策など」が763億円となっている。

政府は、低炭素社会構築に向けて、対策・施策を総合的・計画的に推進するため、政府全体での取組状況の予算面からの把握及び各府省の連携強化を進めている。各府省における地球温暖化対策関係の予算案額は次の通りとなっている。

【25年度予算案額】
A.2020年までに温室効果ガス削減に効果があるもの…3,309億円
B.2021年以降に温室効果ガス削減に効果があるもの…1,534億円
C.その他結果として温室効果ガスの削減に資するもの…2,670億円
D.基盤的施策など…763億円

A~Dの合計8276億円のうち、復興庁が関わるものが3割強を占めており、引続き、震災がれきの処理や森林環境保全、水源林の整備に大きな予算が動くことになる見込みだ。

A.2020年までに温室効果ガス削減に効果があるもの

対策・施策の主たる目的・効果が地球温暖化対策に該当するもので、2020年までに効果を発揮する対策・施策が該当。具体的には対策実施への補助・支援、対策普及のための情報提供、実用化のための実証実験など。

このなかで、最大の予算が充てられるのが、内閣府+復興庁+農林水産省+国土交通省合同の「森林環境保全整備事業」で、901億円の予算が計上されている。復興庁+農林水産省の「水源林造成事業」251億円と合わせて、森林系には1152億円となる。

そのほかには、産業分野や運輸分野の省エネや分散型電源、再生可能エネルギー等に大きな予算が充てられている。経済産業省・産業部門のエネルギー使用合理化事業者支援補助金(348億円)および分散型電源導入促進事業費補助金(250億円)、運輸部門のクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金(300億円)、環境省の再生可能エネルギー等導入推進基金事業(グリーンニューディール基金)(245億円)等となっている。

B.2021年以降に温室効果ガス削減に効果があるもの

対策・施策の主たる目的・効果が地球温暖化対策に該当するもので、主に2021年以降に効果を発揮する対策・施策。具体的には、対策技術の開発、人材育成等が多く該当している。

このなかで、最大の予算が充てられるのが、文部科学省のITER(国際熱核融合実験炉)計画等の推進(173億円)である。ITER計画は、人類初の核融合実験炉を実現しようとする超大型国際プロジェクトで、2019年の運転開始を目指し、日本・欧州連合(EU)・ロシア・米国・韓国・中国・インドにより進められている。

そのほかの主要な予算案としては、経済産業省の「二酸化炭素削減技術実証試験事業」(115億円)、「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」(90億円)、「メタンハイドレート開発促進事業委託費」(87億円)などがある。

C.その他結果として温室効果ガスの削減に資するもの

対策・施策の主たる目的・効果が地球温暖化対策でないもの。具体的には、治山事業等による森林の保全、廃棄物焼却等に伴う排出の削減、公共交通機関の整備などが該当する。

このなかで最大規模のものは、内閣府+復興庁+国土交通省+環境省による「循環型社会形成推進交付金」482億円、内閣府+復興庁+農林水産省+国土交通省による「山地治山総合対策」295億円、復興庁+農林水産省による「山林施設災害復旧等事業」287億円で、復興関連の合計は1064億円となっている。

そのほか、予算規模の大きなものとしては、経済産業省の「風力発電のための送電網整備実証事業費補助金」250億円、「再生可能エネルギー固定価格買取制度施行事業費補助金」191億円があげられる。

D.基盤的施策など

我が国の温室効果ガスの排出削減等の効果を持たないもの。具体的には、対策・施策の全般的な評価・見直し、排出量・吸収量の算定、気候変動の研究監視観測、国際的な連携の確保などが該当。

このなかで最大規模のものは、復興庁+文部科学省による「全球地球観測システム構築の推進に必要な経費」の276億円、経済産業省の「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」205億円となっている。

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