情報発信の場からマーケティングプラットフォームへ
東京では桜がほぼ満開になるタイミングが1週間早かったにも関わらず、天気がいまいちだったり、肌寒かったりしていますね。みなさん体調管理をしっかりして、今日もHOTに頑張って今週末はお花見しましょう!
さて、前回に引き続き今回もオウンドメディアがサービスプラットフォームに進化していかなければならない理由を考えていきましょう。
その前に僕が「企業サイト」と言っているものがどの部分を指しているか、少し前提をお話しておきましょう。
大きく分類すると一つは企業の情報(基本情報やIR情報、プレスリリースなど)や商品情報や問い合わせ機能を提供している、いわゆるコーポレートサイトや商品サイトを指しています。もう一つは商品に関連する生活者に有益な情報やコミュニティなどのサービスを提供しているサイトやアプリケーションのことを指しています(後者は既にプラットフォームとして機能しているものも数多く存在しています)。
つまり企業の投資対象として継続的に運営されているものを企業サイト=オウンドメディアと捉えています。四半期ごとに展開され、短期で終了するようなキャンペーンサイトやアプリケーションのことは含んでいません。
さて、ここから本題です。皆さんご存じの通り、多くの企業サイトはネット黎明期から生活者にHTMLという情報を構造化するための言語で”静的な情報”として提供し、蓄積しつづけてきました。本来、これらは資産として活用されるべきなのですが、蓄積してきた情報が膨大になってしまい、かつHTMLという管理や流用しづらい情報形態となっているため、全体像を把握することが難しくなってきており、活用しようにもできないという側面もあります。
実際にワンパクが戦略立案からリニューアルをお手伝する企業サイトでも、現状把握に膨大に時間がかかったり、そもそも蓄積された情報が生活者や顧客にとって有益なものなのかということが分からなかったり、誰も全体像を把握できなくなってしまっているというケースも多々あります。
もしこれから企業サイトをサービスプラットフォーム化していくのであれば、この静的な情報の置き場所としてきた企業サイトから180度考えを変える必要があります。
そのための大前提として、生活者や顧客視点でコンテンツやサービスを考え、価値あるものを継続的に提供してかなければならないということは前回もお話しました。ここには当然ながら使いやすさ、見やすさ、分かりやすさなども付加されます。
さらに、ユーザの趣向に合わせて最適なコンテンツや機能を提供していくために、レコメンドする情報やユーザの行動履歴などもデータベースとして管理していく必要があります。
Webサイトやアプリケーションでのオンラインでの体験、さらにその前後にあるオフラインでのタッチポイント(店頭やイベントなど)での体験に対し、”ベネフィットを感じてもらった上で”ユーザからのパーミッションを取得し、そこから継続的に生活者や顧客の様々なデータを取得・蓄積し、マーケティングに活用していく、つまりこの”データ”を持つこと自体が企業にとって今後の武器となりえるのです。
また、昨年から若干バズワード的に使われている「ビッグデータ」という言葉とも関連しますが、今後は企業サイトをコミュニケーションやマーケティングプラットフォームとして進化させ、DMP(Data Management Platform)の礎にするという考え方も増えていくのではないかと思います。
では、企業が自ら”データを持つことでどんなメリットがあるのか”ですが、日常的にコンタクトしてくる顧客属性を把握したりニーズやインサイトを把握しやくなるのは当然ですが、企業間コラボレーションなどを実施する際にも相手企業に有益なデータを提供することで、メリットが見えやすくなります。
さらに、プラットフォーム化する中で企業の持つ様々な情報をデータベース化し、API(Application Interface)化しておくことで、様々なデバイスへの情報配信やコラボレーション先の企業への情報提供が可能になるということもメリットの一つと言えます。
企業サイトをプラットフォーム化すべき5つの理由
さて、2回にわたり”なぜオウンドメディアはサービスプラットフォームとして進化しなければならないか”についてお話してきましたが、最後に少しまとめておきましょう。
1.オウンドメディアは既にパワーを持ったメディアとして生活者や顧客とのタッチポイントとなっている
2.それゆえ、企業サイトは生活者や消費者に対し有益な体験や価値を提供してくサービスプラットフォームになっていくべき
3.企業サイトへの予算はマーケティングへの投資と捉えればビジネスに貢献するかたちに進化していくのは必然
4.多くの生活者や顧客から得られるデータは企業にとって武器になる
5.企業のもつ様々なデータはデータベース・API化することで様々なデバイスや場所で有効活用できるようになる
しかしながら、これらを実現していくには多くの課題やハードルがあるのも確かです。次回はこれまで携わった経験を中心にそのあたりのお話をしていければと思います。
【阿部淳也「HOTに行こうぜ!ワンパクの考えるオウンドメディアの未来」バックナンバー】