「倍返し」は流行語として定着か
いまや大ブームと呼べるであろうドラマ「半沢直樹」(TBS系)の6話では、またも平均視聴率29.0%を記録(初回19.4%、2話21.8%、3話22.9%、4話27.8%、5話29.0%)し、勢いを保っている。裏番組であった24時間テレビ・マラソンのゴールインがドラマの前半と重なっていなければ30%越えも夢ではなかったかもしれない。
(c)TBS
さて、本コラムでの半沢直樹ヒット分析は今回で3回目となるが、おさらいをすると、第1回はアベノミクスで好景気を期待している消費者の時代のインサイト、第2回は時代劇風な構成、演出とキャスティングによる視聴者の巻き込みについて書いてきた。しかもうれしいことに本コラムの影響で8月21日の朝日新聞クロスレビューに筆者のコメントが掲載され、また、原作者の池井戸潤氏も取材の中で"原作は経済を使った時代劇。"と認めたという結果になったのである。
今回取り上げるヒットの背景は「ソーシャル性」である。前述のように半沢直樹はヒットすべくしてヒットしたドラマではあるが、そのヒットはソーシャルメディアにも影響されていると筆者は考えている。
(c)TBS
"半沢""倍返し"Twitter分析ツールTopsyによるツイート数およびGoogle trendsでの検索数推移のは以下の図のようになる。ツイート、検索数ともに番組放送時に大きなヤマを迎えるのであるが、これは番組放映中にソーシャルメディアを見ている人に視聴を促す効果があるのではないかと考えている。筆者の考えではグラフの見た目は同じでもツイート数は番組中に内容に感動した人数(回数)が可視化されており、検索数は番組の内容に興味を持った人数(回数)が可視化しているものであると考えている。
キーワード「半沢」のツイート数(左)と検索数(右)の推移
キーワード「倍返し」のツイート数(左)と検索数(右)の推移
では「倍返し」の検索数だけが他と違う推移を見せているのはなぜか? 筆者の推測ではこれこそ流行語になりつつある証拠であり、番組のオンエア時以外でも芸能人を中心にトークに使用するため派生も含めた言葉が語られている証拠ではないかと考えている。
>>次ページ ヒットを加速させるのは、新しいサービスでの配信
江端 浩人(事業構想大学院大学教授)
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。
日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。
日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。
米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、2005年日本コカ・コーラ入社、iマーケティングバイスプレジデント。2012年9月から日本マイクロソフト業務執行役員セントラルマーケティング本部長。2014年11月よりアイ・エム・ジェイ執行役員CMO。2017年3月ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。現在、同社執行役員メディア統括部長兼株式会社MERY副社長。
日本コカ・コーラ在職中は、同社が運営する会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開発し会員数約1200万人、月間PV約10億を誇る巨大メディアに成長させた。
日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会が主催する「Webクリエーション・アウォード」で、2010年度の最高賞「Web人大賞」を受賞。2014年に日経BP広告大賞を受賞。2012年4月に開学した「事業構想大学院大学」の教授に就任。日本マーケティング学会会員。
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