調査要綱
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内アフィリエイト市場の調査を実施しました。
- 調査期間:2011年1月~4月
- 調査対象:主要ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)、インターネット広告利用企業、広告掲載メディア
- 調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
本調査におけるアフィリエイト市場とは
パソコンや携帯電話の WEB サイトに貼られた広告を通して、商品の購入に繋がれば報酬が得られるシステムを指す市場である。
同市場には、各種広告主とサイトオーナーを仲介する代理店方式の ASP 型、仮想ショッピングモール運営企業がアフィリエイトプログラムを提供するショッピングモール型、自社のショッピングサイトにある商品の販売促進を目的として、自社が広告主となりアフィリエイトプログラムを提供する独自型があり、成功報酬型の広告を対象とする。
調査結果サマリー
2010年度のアフィリエイト市場規模は1,009億円になる見込み
2010年度のアフィリエイト総市場規模は1,009億2,000万円になると見込む。
2011年度は前年度比4.3%増の1,052億5,000万円、2012年度は同3.8%増となる1,092億5,000万円に、2013年度には同3.0%増の1,125億円になると予測する。
PC アフィリエイトが市場を牽引、今後はリワード広告の拡大に期待
モバイルアフィリエイト市場は公式サイトの広告出稿量減少により縮小傾向である一方、PCアフィリエイトは物販系分野を中心に拡大する見通しである。
今後はスマートフォンの普及が更に進むことにより、現在拡大しつつあるリワード広告分野の拡大が期待される。
調査結果の概要
市場概況
近年アフィリエイト市場は緩やかに伸張している。2008年度に813億1,000万円(前年度比20.2%増)、2009年度に941億9,000万円(同15.8%増)と推移し、2010年度には1,009億2,000万円(同7.1%増)に達したと推計した。
- PC 及び携帯アフィリエイトには、各々ASP型、ショッピングモール型、独自型による売上高を含む
- ASP 型は、広告費(報酬額)、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用など)の総計にて算出
- ショッピングモール型(仮想ショッピングモールがアフィリエイト機能を提供しているケース)は広告費(報酬額)と手数料の総計にて算出
- 独自型(自社でアフィリエイトを実施しているケース)は広告費(報酬額)のみを算出
- スマートフォン向けサービスは携帯アフィリエイト売上高に含む。ソーシャルメディア向けリワード広告は、PC及び携帯アフィリエイトの両方に含む
- 見込は見込値、予測は予測値
アフィリエイト市場の分野別市場概況は以下の通りである。
PC アフィリエイト市場は、一部のリード(注1)系アフィリエイト分野が縮小する一方、物販系分野が堅調に拡大している。 リード系アフィリエイト分野では特に FX 分野での広告出稿量の減少が見られる。これは昨今のレバレッジ上限規制等の法規制が影響しているものと考える。
一方、物販系アフィリエイト分野は拡大しているものとみる。現在はリーマンショック時の消費者による買い控えから抜け出し再度消費行動が活発化している状況となっている。そのため、物販系案件を主力とする ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)の売上が堅調に拡大していると考える。
モバイルアフィリエイト市場は、携帯キャリアから公式サイトへ出された広告出稿規制(注2)によりモバイル公式サイトの広告出稿量が減少している。 そのため、公式サイトが主な広告主となるモバイルアフィリエイトを主軸とする ASP においては、大きな打撃を受けている事業者も多いとみる。
この様な状況より、現在 PC アフィリエイト市場は拡大し、モバイルアフィリエイト市場は一旦縮小しているものと考える。 しかしながら、今後も物販系分野やリワード広告分野などが拡大すると予測されることから、今後も市場は拡大すると予測する。
この様な状況を勘案し、アフィリエイト市場規模は、2011年度は前年度比4.3%増の1,052億5,000万円、2012年度は同3.8%増となる1,092億5,000万円に、2013年度には同3.0%増の1,125億円になると予測する。
注1:リード系アフィリエイトとは、会員登録や資料請求などを成果とするアフィリエイトを指す。
注2:ポイントや動画などインセンティブを付与するサイトへの広告出稿を控える旨の通達を指す。
注目すべき動向
昨今のソーシャルメディアの利用者増加に伴い、ソーシャルアプリ内に掲載されるアフィリエイト広告である「リワード広告」(注3)など新たなアフィリエイトが出現している、同広告サービスを提供する新規プレーヤ
ーが登場するなど、同分野の市場が拡大し始めており今後も引き続き成長すると予測する。
また、最近ではスマートフォンアプリ向けリワード広告サービスも登場しているが、現状同アプリ数が少ないことなどから、本格的な広告サービスには至っていない。そのため、今後提供されるアプリ数が更に増加すれば、スマートフォンアプリ向けリワード広告分野の拡大も望める。
注3:リワード広告とは、成功報酬型広告の一種であり、アクセスした訪問者に報酬の一部を還元する仕組みを持った広告