ギャル×チャリティー×クリエイティブ
富永勇亮(AID-DCC)
執筆中に起こった大地震、そして、暗く悲しい速報が蔓延していく中、ミュージシャン、漫画家など様々なクリエーターが、人々の心を明るくすることを願ってイラストや音楽を発表し始めた。
涙を流しつつ再認識したのは、『クリエイティブは世の中を明るくすることができる』ということ。
最終回は自ら関わったチャリティープロジェクトを取り上げたい。
DENTSU GAL LABOと国際協力NGOジョイセフが開始した『チャリティーピンキーリング』プロジェクトは、オリジナルデザインのピンキーリングをウェブサイトで350円で販売し、1個あたり100円の支援金を、途上国におけるクリニックの改修や、医療用具の提供、妊娠・出産についての正しい知識の普及などの支援活動に使うというもの。
現在、世界では、毎年35万8千人の女性が妊娠や出産で命を落としている。
その99%が途上国の女性で、望まない妊娠に苦しむ女性も多い。
こうした現状を、日本の同世代の女の子にファッションを通じて知ってもらい、支援することが目的だ。3月8日に発売して、3日間で、初期ロット1200個が完売。
NHKなど多数のメディアに取り上げられ、再販希望の問い合わせが寄せられた。
共感を得たのは「女の子が欲しいと思えるプロダクトとしての完成度」、「10~20代の女の子でも購入しやすい価格設定」、「悲痛さを強調しないポジティブなコミュニケーション。」「寄付金の最大化を目指すなら違う方法論があるだろうが、10~20代の女の子に、チャリティーについて考えるきっかけを与え、気軽に参加させる仕組みとしては充分に機能したプロジェクトだ。今後はこのフォーマットで様々な展開を模索することが可能だ。
不安な状況だからこそ、クリエイティブの力で世の中が少しでも明るくなることを切に願う。
(宣伝会議 2011年 4/1号より)
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(とみなが・ゆうすけ)
2000年エイド・ディーシーシー設立に参画。2010年、東京オフィスを開業、制作チームと共に企画・演出・プロデュースを行う。主なクライアントはAdidas、KDDI、JR東海、RICOHなど。