マーケティング活用のための情報整理
鈴木 健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
自社メディアとしてのWEBサイトはかつて「ホームページ」と呼ばれ、まるでサイバースペースに家を建てるようなイメージだった。初期の企業のホームページの多くが電子化された会社案内と商品カタログでしかなかったのは、最初に建てた家にとりあえず家具や持ち物を運びいれた感覚だったのだろう。
その意味で自社メディアは「Owned Media」の「Own(所有する)」が示すように「情報資産」が基本要素で、膨大な情報のアーカイブの集積となるのはごく自然なことである。
しかしこれには厄介な問題がつきまとう。電子化によって情報にアクセスしやすくなった半面、企業は集積された情報を管理していかないと活用してもらえない。図書館の本が情報なら、それを常に整理しアップデートする司書が必要なのだ。
前回「WEBは更新が面倒なわりに役立つ感じがしない」と述べたのは、情報資産をメンテナンス管理することと対外的なマーケティングの目的は異なるため。
WEBをマーケティングツールとして活用するにはメンテナンスを目的にするのではなく、その情報資産をマーケティングプロセスの中でどう活かすべきかを組み立て直す必要がある。
これは一度建てた企業ホームページという家に運び入れた「商品」「企業情報」という名前の壁を壊すことでもある。
その上で消費者から見て価値ある情報は何か、またマーケティングプロセスを活性化させるためにどんな情報をアクセスさせるかという課題によって新たな家を建てなければならないのだ。(宣伝会議 2011年 4/1号より)
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(すずき・たけし)
ニューバランスジャパンのマーケティング部長。国内外の広告代理店の経歴を経て、ナイキジャパンでブランドマーケターに転身、現在は現職でデジタルを含め広告宣伝PRを統括。