優勝セールにアクセス集中
「就任当時あの大震災で苦労なさっている皆さんを見て、日本一になって癒してあげたい、それしかないと信じてこの3年間戦ってきました」との星野監督の優勝インタビューを受けて最高視聴率に達していた時に、インターネット上も大変なことになっていた。
楽天市場が東北楽天ゴールデンイーグルス(日本一)優勝記念セールを開始した時に、ブラウザー、アプリいずれもつながりにくい状況になっていたのである。
筆者の知る限りでは楽天市場でこのような事象は近年発生しておらず、前代未聞のアクセスがあったものと推察される。特に近年ではクラウドというピーク時にアクセス容量を増やすことが可能なサービスも用意されており、サイトが落ちるような事例は少なくなってきているのでなおさらである。
本年の日本シリーズは、レギュラーシーズン負け無しの田中将大投手が連投し劇的な優勝を遂げ、中継も最高視聴率45.3%(平均27.8%、ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録した。
マスコミ各社も巨人、楽天それぞれが優勝した時のセールをこぞって告知しており、日本シリーズ中もソーシャルメディアを中心に多くの消費者がインターネットに接続していた。
そして何よりも日本人は同時性を求める人種で同じ瞬間を共有したいという気持ちが強いのであろう。その意味で筆者は楽天優勝セールへのアクセス集中は日本特有の心理で「買い物をしたい」というよりは「一緒に優勝をお祝いしたい」という気持ちの表れであると考える。
そのような「瞬間共有願望」を一番表しているのは、Twitter秒間アクセス数推移であろう。世界のTwitter秒間アクセス数の上位のほとんどが日本の記録だそうで上位5位は以下のとおりである。
Twitterの秒間アクセス数 ランキング
1位:14万3199ツイート 2013年 『天空の城ラピュタ』放送時
2位:2万5188ツイート 2011年 『天空の城ラピュタ』放送時
3位:6939ツイート 2013年 新年の挨拶
4位:3283ツイート 2010年 ワールドカップ 日本- デンマーク戦
5位:2940ツイート 2010年 ワールドカップ 日本- カメルーン戦
しかし筆者は、今回の楽天優勝は直接的な優勝セールなどより長期的なインパクトを日本社会全般に与えたと考えている。震災の被害を最も受けた東北という地域を代表する球団が創設以来初めて日本一になったということは、地域の人に、いや日本全体にどれだけ大きな影響を与えたか計り知れないのではないか。
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