止まらない「食品偽装」。著名ホテルを襲った激震の風評の損失状況を分析する(2)

ホテル・旅館から始まった「食品偽装問題」は、先週のコラムでも予想した通り拡大の様相を呈している。

昨日に続いて、一連の問題による各社の対応とツイート数などによる反響を見ていこう。

帝国ホテル

2006年の不適切表記に関して公表、テレビでの報道はゼロ。帝国ホテルは、米国内で絞って加熱せずに瞬間冷凍したものを輸入業者から購入し、ホテルでフレッシュジュースとして提供していた。「社内では当時、非加熱品ならフレッシュジュースとの認識があり、製品は手絞りと同等の品質と判断していた」とコメント。

業者から加熱加工したジュースへの変更を提案されたことを契機にフレッシュジュースとして提供するのは不適当と判断し、2006年5月以降は、「生の果実をホテル内で絞ったものを使用している」と公表した。過去事例であること、自ら是正完了している点など、他の業界インパクトに消されて大きな問題とならなかった。テレビ報道も確認されていない。

帝国ホテル

近鉄系ホテル・旅館等

公表の度に新情報。「返金しない」「誤認」から一転して社長辞任に追い込まれる。本件発覚は2013年10月31日であり、対応は同日行われた。対応としてはWeb上での謝罪文掲載、記者会見、対応窓口の設置、利用金額の返金である。発表同日より報道が加熱し、テレビ露出は37番組、合計1時間11分27秒で、マイナス広告価値換算で約7億1400万円に相当する被害結果となった。

近鉄系ホテル

(クリックで拡大します)

>>続き 「名鉄系ホテル」、そして今後の対応のあり方


次のページ
1 2
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ