レクサスの情緒的価値を情報敏感層に訴求――トヨタ自動車

レクサスの新ブランド戦略~Amazing in Motion~

高田敦史(トヨタ自動車 レクサスブランドマネジメント部 部長)

レクサスは2011年3月に「我々は日本発の『真のグローバルプレミアムブランド』になる」というグローバル統一のビジョンを発表、2012年6月には社内カンパニー「レクサスインターナショナル」が発足するとともに、ブランド戦略を担当するレクサスブランドマネジメント部を立ち上げ、新しいブランディング施策を進めてきた。

日本、米国でのユーザー調査によると、従来のレクサスのブランドイメージは、「環境への配慮」「品質」「販売・サービスの満足度」などでは高いスコアをあげていたが、「革新」「感動」「運転の楽しさ」「デザイン」といった情緒的なイメージでは競合ブランドの後塵を拝する傾向が強かった。

「環境性能や品質、ホスピタリティといったコアコンピタンスは維持しながらも、レクサスをもっとクールなブランドにする。それが我々に課せられた命題だった」(高田氏)。

レクサスの新しいブランド戦略のターゲットは、従来の高級車が想定してきた“伝統的富裕層”ではなく、イノベーターやアーリーアダプターといった情報感度の高い層。

「まずは、世間の流れをリードしていく層に対して積極的にコミュニケーションしていき、新しいレクサスの情緒的な魅力をマーケットに浸透させたい」(高田氏)。

2012年の新型GSから商品力を大幅に向上させる一方、マーケティング面では「AMAZING IN MOTION」をスローガンに、独自性の高い施策を多数展開してきた。

感性に訴えかけるクリエイティブを採用したテレビCMや、世界中の新進気鋭の監督5人が制作した短編映画「LEXUS SHORT FILMS」、2013年は世界中から1200もの応募が集まった国際デザインコンペティション「LEXUS DESIGN AWARD」、東京・南青山にオープンしたブランド発信基地「INTERSECT BY LEXUS」――カルチャーやライフスタイルの創出・提案にまで踏み込んだこれらの施策の評価には時間がかかるが、まずはターゲットとして設定した情報感度の高い層における各施策の認知度については、高いスコアを得ることができた。

課題となっていた「革新」「感動」といったイメージにも上昇傾向が見られ、ブランドイメージは着実に変化しつつあると高田氏は話す。

「ブランドイメージを変えるのは簡単なことではない。継続的に努力を続ける必要がある。レクサスの歴史はまだ25年だが、今後生まれてくる“新しいラグジュアリー市場”の中では、中心を担うブランドになりたい」(高田氏)と長期的な視点でブランド戦略に取り組むことの重要性を強調した。

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