文:小林パウロ篤史
4月7日、「株式会社MediaJUMP」は産まれた。
当日の朝。雲一つ無い晴天の赤坂稲荷で役員・関係者一同集合して商売繁盛のご祈祷。
みんなで本堂に移動するとき、
「代表として、パウロと糸永が先頭を歩いて、本堂では真ん中に座りなさい」と言われた。
そんなことを言われたのは初めてだった。
え? と思った瞬間だった。
博報堂に中途入社する時、先輩からは「広告業は多くの仲間と共に遂行する仕事だよ」と言われた。
そりゃーそうだ、と思って入社したが、ポジティブな意味で、想像を超えていた。
分かりやすく言えば、「永遠に続く、お祭りの準備に忙しい毎日」だったから。
そう、面白くないはずがない! ワクワクしたり、どきどきしたり。毎日が刺激に満ちていた。
と同時に、「自分は一歩引く」。これがベースだった。
良いとか悪いとかではない。広告会社現場の基本動作として、とても大事なことだった。
でも、時々思っていた。
「いったい自分が前に立つ日は来るのだろうか?」
前に立つ=目立つ、という意味ではない。
自分がやった仕事への評価が、直接世の中から返ってくること、そんなイメージ。
広告会社、基本は黒子。
とはいえ、クリエーターには、様々な賞がある。その分緊張感にさらされている、と思う。
しかし、営業やメディアマンがいわゆる世間から褒められたり、あるいはしかられたりするケースはほとんど、無い。
(もちろん、だからといって緊張感がなかったわけではない!)
「得意先のお祭りを、自分にしかできない、パウロの色でお手伝いすること」にやりがいを感じていたわけだけども、並行して、「自分自身が世の中と真っ向からぶつかる祭り」もやってみたい、と思いはじめていた。
いろんな人の助けを借りながら、いま、その祭りが始まろうとしている。
これまでとは違う意味で、会社の資産を使わせてもらいながらのチャレンジ、それが今日から始まったお祭り。
7月から始まる事業という祭りを通じて、
どんな評価をユーザーから、そしてパートナーの方々から頂戴するのか。
自分の名刺に書いてある「代表」という文字が、ぐっと重く感じる。
「前に立っている自分」がいる。
今週のセレクション: Clammbon 「バイタルサイン」
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