ニッチからマスへと導くブランディング戦略――エアウィーヴ

エアウィーヴのブランディング戦略
~新規参入から事業ステージに応じたブランドコミュニケーションの変遷について~

2007年の発売以来、販売数を伸ばし続けているマットレスパッド「エアウィーヴ」。講演の前半では高岡本州社長が、同商品の開発の歴史と事業戦略について紹介した。

エアウィーヴ 代表取締役社長 高岡本州氏 同 取締役 田所邦雄氏

エアウィーヴの事業戦略は、大きく2つのステージに分けられるという。第一ステージでは、独自の素材を用いたことによる商品優位性を伝え、消費者がそれを実感できる使用体験の場を提供。PRを主軸に置いたコミュニケーションを展開した。

そして第二ステージでは、商品の愛用者であるフィギュアスケート・浅田真央選手や歌舞伎俳優・坂東玉三郎さんと広告契約し、PRと広告を兼ねたコミュニケーションで認知度と顧客層の拡大を図った。

アスリートとの契約については、「幅広い年齢層で認知度の高い浅田真央選手を起点に、コアターゲットの50代に関係性が強いスポーツであるテニスやゴルフの選手を徐々に増やしていき、認知性から関係性へと移行させる狙いがあった」(高岡氏)という。

また、早稲田大学や米・スタンフォード大学と共同で行った、睡眠と寝具の関係性を研究した実績にも触れた。商品PRにおけるエビデンスの重要性について言及するとともに、そこでも明らかとなった睡眠の美容効果を訴求する施策として、百貨店の化粧品フロアへの取扱い店舗の出店や、宝塚歌劇団へのスポンサードといった取り組みを紹介した。

講演の後半では、同社取締役で、ウェールズ大学日本校でブランディングの教授も務める田所邦雄氏が、マーケティングの視点からエアウィーヴのブランディングを分析した。

テレビCM・新聞広告・交通広告・自社サイトといった接点から実店舗へ誘導する仕組みと、マスから店頭まで全てのチャネルにおいて統一したクリエイティブを紹介し、さまざまな媒体を効果的に組み合わせたコミュニケーションの重要性を強調した。こうした戦略を振り返り、田所氏は「取り組み自体はオーソドックスなものばかり。

事業ステージの変遷に合わせて、やるべきことを着実に行っていった結果、ニッチから入った市場でマスを獲得することに成功した」と話した。

高岡社長は最後に、ブランディングとは「歴史」であるとし、「一流の人々、施設での使用実績がストーリーとなり、そのストーリーを広告で発信することで、単なる商品性能の訴求よりも、高い効果を得ることができる」と話した。

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