品選びの基本は、父母が喜ぶか

ラジオでの通販。それは声だけで商品の魅力を伝えるということ。ラジオを聴いてくださっている方々は圧倒的にお一人様、お二人様が多い。しかも年齢はそうとうお高い。

そこで品選びでは、私の母や父が喜ぶ商品であるかどうか、も大切にしていました。ラジオ通販で大ヒットとなったカシミヤセーターも、まずは父に感想を聞いてみたのです。

すると「カシミヤはいいに決まっている。でも本当に大丈夫な商品なのか?若い人向けのデザインじゃないのか?肩はゆったりしているのか?袖や裾がだらっとしているのはダメだ、だらしないから」と言います。

父が「大丈夫か?」と疑問に思っているのは素材のことではなく、自分のような年寄りが気持ちよく着られるものなのか、ということだったのです。

デザインは男性用にVネックを選び、私自身は好まないけれど、袖口と裾はゴム編みでしっかりと形が整ったデザインにしました。女性用は丸首。しかも胸元の開きが少ないもの。

そして、この特徴を私の父の「大丈夫か?」の疑問に答える気持ちで、できるだけ丁寧に説明しました。実は、これが大ヒットの大きな秘密となったのです。

後で聞いた話によると、「ラジオ通販のあまりの反響に他の通販にも出してみたけれど、森さんみたいに売れなかった」とのこと。つまり、どこをアピールするかの勝利だったと言えます。

食品では「作りたてかりんとう一斗缶入り」2980円が1000個を越えて売れたと記憶しています。これはかりんとうのおいしさだけではなく、懐かしい一斗缶に入れたことがポイントでした。

ラジオ番組で一番の盛り上がりは、一斗缶の使い勝手のよさをアピールしたこと。「食べ終わったら、乾物を入れたり、ドッグフードだって入れられます」と言いながら缶をたたいて音を出すのです。この商品もラジオ通販だけのヒットとなりました。

こうしたヒット商品が出てくるうちに、お年を召した方がラジオ通販を支えてくださっていて、いつも楽しみにしてくださっていることに気づくのです。

「森さんのラジオは分かりやすいんや」とか「要所要所押さえて話してくれるから買おうと思うんや」との声が多くなっていきました。両親を基本として、できるだけ上の方々にご意見を伺う方法は今も同じ。こうして商品のアピールポイントを見つけ出す手法は、私の王道です。

次ページ 「もうひとつ、話し方がラジオではとっても大切!」に続く

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森 靖子(ショッピングパーソナリティー)
森 靖子(ショッピングパーソナリティー)

1957年京都生まれの神戸育ち。朝日放送の庶務から子会社の通販会社に入り、商品バイヤーを経験。その後通販会社レストフォーを立ち上げ、商品セレクトとユニークなラジオ通販番組を手がける。また顔面麻痺を克服した自らの体験を元に保湿化粧品ブランド「ウフドール」を立ち上げ、テレビやラジオ媒体で活躍中。

森 靖子(ショッピングパーソナリティー)

1957年京都生まれの神戸育ち。朝日放送の庶務から子会社の通販会社に入り、商品バイヤーを経験。その後通販会社レストフォーを立ち上げ、商品セレクトとユニークなラジオ通販番組を手がける。また顔面麻痺を克服した自らの体験を元に保湿化粧品ブランド「ウフドール」を立ち上げ、テレビやラジオ媒体で活躍中。

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