宣伝会議 編集長 谷口優
あらゆる消費者接点がデジタル化していく流れはさらに加速。スマホの浸透で、消費者はますますリアルとデジタルの垣根を意識せずに行動するようになっている。
デジタルを「広告メディア」の一つと捉えた従来の対応では十分ではなく、「オムニチャネル」の概念に象徴されるように情報収集から購入、さらに買った後の使用段階に至るまで、消費者との接点がデジタル化していく状況をどう捉え、断片化した情報を統合し、一人ひとりの顧客満足を高められるかが大きなテーマとなる。
また接点がデジタル化したからこそ、蓄積されるようになった消費者データ。そこから出てきたデータドリブンマーケティングへの流れも強まりそう。
2013年、頻繁に耳にしたO2O、ビッグデータなども「接点のデジタル化」という状況から生まれたものと言えそうで、今年も引き続き注目している。
ここで言うデータとは言い換えれば消費者の声の集積。データ基点のマーケティングとは真に顧客・消費者を中心に据えたマーケティング姿勢への変革に本質があり、その気付きから、テクノロジー偏重を見直す動きも強まるのでは。
昨今は、次々と登場するテクノロジーやメディアに対応していこうとする機運があったが、その結果、人的リソース不足の事態に。今年はマーケターを取り巻く様々な情報、ツールを「取捨選択」し、自分たちがやるべきこと、捨てるべきことの「判断基準」が明確に必要とされる1年になりそうだ。
企業・ブランドの社会における存在意義を改めて見つめ、お客様に提供できる価値を今の時代に合わせて規定し直さなければ、マーケティング活動の取捨選択はできない。
それゆえ、自分たちの企業・商品のコア・コンピタンスを再定義し、やるべき活動を選び取れる力、思い切って捨てられる決断を迫られるのが2014年。
競合との相対的な機能比較、そのプロモーションといった表面的な次元ではなく、その企業や商品の理念・志、社会における存在意義といった足もとからブランドコミュニケーションを見直し、考える流れが生まれるのではないかと思われる。
おかげさまで「宣伝会議」は今年4月で創刊60周年を迎える。節目の年に改めて、時代に合わせて変化する宣伝活動の役割を読者の皆様と共に考え、発信していきたい。