買い物の楽しさを提供する店づくりや陳列で、若い女性を中心に支持される輸入生活雑貨店「PLAZA」。当連載では、その運営を手掛けるスタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニーのストアマーチャンダイザーやバイヤー、ショップスタッフから、売り上げにつながった販促ツールを紹介してもらう。
2004年にフランスで生まれたクヴォン・デ・ミニムは、植物由来の原料にこだわったコスメブランド。日本ではプラザや一部の百貨店などに販路が限られるが、約100種類のオリジナルメッセージカードの販売やフェイスブックページの投稿などにより、ギフト需要の喚起に注力している。
同ブランドが、ハンドケア商品「庭師のバーム ハンドバーム」のギフト需要喚起のため、今年7月10日に投入したのが「夏の特別挨拶便」セットだ。これはハンドバーム本体と封筒、紙飛行機型の台紙ホルダーを同梱したもの。
台紙にメッセージを書き込んでバームをセットし、封筒に入れれば、“プチギフト”として140円切手で郵送できる。このセットは、ハンドバーム単品と同じ価格で発売した。
プラザスタイル カンパニー コスメ担当バイヤーの國部桂子氏によると、メーカーがこの販促物を企画した背景には、ハンドクリームの夏の売り上げ確保という課題があったという。
「ハンドケア商品は冬の商材で、夏は売り上げが低迷するもの。その回避策として“夏のプチギフト”というコンセプトが生まれたと聞いています」。
当初、紙飛行機型の台紙ホルダーだけのセットを発売したところ反響が良かったことから、夏に向けてより汎用性を高めるため、急きょ封筒も加えたセットが企画されたという。
告知にはクヴォン・デ・ミニムの公式フェイスブックページを使い、「暑中見舞いの代わりに」といった提案で商品コンセプトを訴求。プラザの全国36店舗をはじめとする販売店の店頭に誘導した。
プラザでは通常、夏季はハンドクリームの扱いを減らし、売り場を縮小する場合が多い。しかしこの施策を受け、今夏は同商品を需要期と変わらない規模で展開した。
さらに、同ブランドのメッセージカードとの関連販売を行ったほか、実際に郵送する際の完成形を見本として展示。メーカー支給のPOPやボードも展開店舗全店で設置し、ギフト利用という商品コンセプトの訴求に力を入れた。
この結果、夏季におけるプラザのハンドケア商品の平均的な販売数に比べ、同商品は約3倍の販売数量を記録。「ギフト利用の提案が、夏の購入の動機付けとして機能した。
また、価格据え置きでお得感も演出できたため、まとめ買いする人も多かった」と國部氏。当初は数量限定の予定だったが、この成果を受け、当面は別のデザインで継続販売するという。