「表参道布団店。」という、イノベーションの実験場。

2013年の夏、僕は「表参道布団店。」という、新しい布団ブランドを立ち上げました。

「なぜ、布団?」と思われる方がいるかもしれませんが、世の中のあらゆる商品に現代的なデザイン文脈が浸透しているなか、数十年前から同じ柄の商品を売っている布団業界は、まだまだデザインが浸透しているとは言えません。つまり、デザインの力でできることがたくさんある領域と考えたからです。

僕がこの布団ブランドで取り組みたいことは、これまでもコラムでお話してきた通り、企業戦略に基づいたデザインや、購買・商品体験を構築することで、どこまでイノベーティブなブランドがつくれるか、そしてそのイノベーションを、はたしてマーケットがどこまで支持してくれるのかということを、実業をもって検証・立証することです。

この「実業をもって検証・立証すること」に取り組んでみたいと思ったことは、僕が独立した理由の一つでもありました。

商品は「布団のデザイン」

デザインの善し悪しは受け取る側の属性や好みによって変わってくるので、全ての顧客にとって、良いと思われるデザインを目指す必要はありません。そこで、30〜40代のモダンデザインのインテリアに囲まれた都市型ライフスタイルを送る人たちに選ばれるデザインになることを目指してブランドを立ち上げました。

また、売り物を「布団のデザイン」と捉えた時に、「デザインを売る」という布団そのものを売る以外のビジネスも成立します。

例えば、お客様がいま現在使用している布団を引き取り、中身の羽毛だけを取り出して洗浄し、表参道布団店の素材・デザインで外側を仕立て直すというデザインの売り方。これは、表参道布団店のリ・デザインサービスとして、今年サービスを開始します。

次ページ 「21世紀のメーカーの販売チャネル」に続く

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室井 淳司(アーキセプトシティ 代表/エクスペリエンスアーキテクト)
室井 淳司(アーキセプトシティ 代表/エクスペリエンスアーキテクト)

1975年広島県生まれ。2000年東京理科大学理工学部建築学科(建築意匠専攻)卒業後、博報堂入社。空間開発チームに所属し、企業空間・店舗ブランディング、商品開発、プロダクトデザイン、体験コミュニケーションクリエイティブ業務に従事。2007年空間ブランディングを実行する社内組織、「博報堂エクスペリエンスデザイン」を発足。 2009年ミラノサローネサテリテ参加。2011年金沢美術工芸大学非常勤講師。 2012年博報堂史上初めて、広告制作職外からクリエイティブディレクターに当時現職最年少で就任。 2013年博報堂を退職し、空間クリエイティブ・デザインファーム、アーキセプトシティ設立。2013年4月より博報堂最年少フェロー。表参道布団店 チーフクリエイティブオフィサー。

Red dot design award best of the best 2011/JCD best100 2011.2012/DDA award 2008.2009.2010.2011、Good design award 2009.2011.
デザインと仕組みのかけ算で、デザイナーが担うべき役割を広げる。

室井 淳司(アーキセプトシティ 代表/エクスペリエンスアーキテクト)

1975年広島県生まれ。2000年東京理科大学理工学部建築学科(建築意匠専攻)卒業後、博報堂入社。空間開発チームに所属し、企業空間・店舗ブランディング、商品開発、プロダクトデザイン、体験コミュニケーションクリエイティブ業務に従事。2007年空間ブランディングを実行する社内組織、「博報堂エクスペリエンスデザイン」を発足。 2009年ミラノサローネサテリテ参加。2011年金沢美術工芸大学非常勤講師。 2012年博報堂史上初めて、広告制作職外からクリエイティブディレクターに当時現職最年少で就任。 2013年博報堂を退職し、空間クリエイティブ・デザインファーム、アーキセプトシティ設立。2013年4月より博報堂最年少フェロー。表参道布団店 チーフクリエイティブオフィサー。

Red dot design award best of the best 2011/JCD best100 2011.2012/DDA award 2008.2009.2010.2011、Good design award 2009.2011.
デザインと仕組みのかけ算で、デザイナーが担うべき役割を広げる。

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