工学部機械工学科卒業という経歴を持ち、現在は電通で「コミュニケーション・プランナー」として、これまでにない新しい企業コミュニケーションの形を模索する廣田周作さんもその一人。2013年7月には著書『SHARED VISION―相手を大切にすることからはじめるコミュニケーション』を刊行するなど、企業と消費者がフラットにつながる今の時代のコミュニケーションのあり方を自身の実践をもとに発信しています。
この連載では毎回、廣田さんが広告業界に限らず、そんな新しい働き方を見つけ、実践する方に話を聞きに行きます。
対談企画「仕事の創り方を変えよう!」
numabooks代表
内沼晋太郎氏
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電通 プラットフォーム・ビジネス局 開発部 コミュニケーション・プランナー
廣田周作氏(『SHARED VISION―相手を大切にすることからはじめるコミュニケーション』著者)
本の読者自体を増やすことを仕事にしたい
廣田:対談3回目となる今回はブック・コーディネイターとして活動する、numabooks代表の内沼晋太郎さんにお話を聞きます。昨年12月に刊行された内沼さんの著書『本の逆襲』で書かれている出版業界の現状と広告業界の現状が重なるところが多くて、社内で周囲に “ 課題図書 “として熱烈に薦めています。
今日はブック・コーディネイターという、これまでにない本と関わる働き方をつくってきた内沼さんにマージナルな場で仕事をするようになったきっかけを聞いていきたいなと思っています。実は、僕にとって内沼さんは大学のサークルの先輩にあたるんですよね。
内沼:『PLUS』というフリーペーパーを発行するサークルですね。
廣田:年齢は一緒なのですが、僕がサークルに入ったのが遅かったので内沼さんは先輩にあたります。まず、内沼さんの仕事について説明してもらえますか。
内沼:最初は洋服屋さん、雑貨屋さんなど、本屋さん以外のお店に本の売り場をつくることから始まり、集合住宅や企業の受付、商業施設にライブラリーをつくりたいという相談を受け、本棚をつくる仕事に広がっていきました。
そういう活動をしていたところ、本や出版業界のことについて意見を求められることが増え、トークイベントへの出演や執筆、コンサルティングなども行うようになりました。その後、2012年の7月に博報堂ケトルの嶋浩一郎さんと一緒に下北沢に「B&B」をオープンしました。
廣田:嶋さんとB&Bを立ち上げると聞いて、「なんで僕が電通にいるのに、博報堂の人と一緒に仕事をするんだ!」と嫉妬して(笑)。それで、「一緒に仕事しましょう」と連絡したんですよね。
「まだ内沼さんと一緒に仕事をしたことがなかった!」ということに気が付いて。サークルでも、僕が入った直後に内沼さんはサークルをやめて自分で雑誌を立ち上げてしまうので、一緒にいた期間は短かったですよね。
内沼:本屋で売れる有料の雑誌をつくりたいと思って、『PLUS』編集部をやめたのですが、僕はその時に初めて出版流通の仕組みを知り、出版業界が不況と言われていることも知ったんです。自分は本が大好きで、本屋に行けば自分と同じようなお客さんがたくさんいるから、壊れゆく業界と言われていたなんて、初めて知って。
でも確かに「活字離れ」と言われるように、本を読んでいない人たちも多い。かといって、本を読んでいない人たちに、本を読んでもらおうとするための活動を誰かがしているのかといえば、誰もしていないように思える。本屋さんは、出た本を売るので精いっぱいだし、出版社は本をつくるだけで精いっぱい。そもそも、本の読者自体を増やすことを考えている人が誰もいないのではないか。いないなら、僕がその仕事をしたいと思ったんです。
【「電通 廣田さんの対談」連載バックナンバー】
■takram design engineeringの田川欣哉さんに聞きに行く
・「自分で全部やってみたい人の仕事術」(前編)
・「自分で全部やってみたい人の仕事術」(後編)
■Sumallyの山本憲資さんに聞きに行く
・「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(前編)
・「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(後編)
■内沼晋太郎さんに聞きに行く
・「マージナルな場に飛び出す人の仕事術」(前編)
・「マージナルな場に飛び出す人の仕事術」(後編)
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