配車アプリ「スマホ de タッくん」
ここでは、『販促会議』2014年4月号に掲載された連載「販促NOW-MOBILE APPLICATION」の全文を転載します。
石川 温(いしかわ・つつむ/ケータイ・スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
「急いでいる時に限って、タクシーがつかまらない」というのは、社会人ならば一度や二度は経験があるはず。得意先での商談に、もはや電車では間に合わないという時に限って、目の前の道にタクシーが全く通らないものなのだ。
しかし、スマホがあれば、そうしたピンチの時にも頼りになる。「スマホ de タッくん」というアプリは、スマホの位置情報を測位し、乗車したい場所を指定すると、その場にタクシーが配車されるというもの。
アプリを開くと、地図が出てくる。タクシーに乗りたい場所を地図上で選ぶと、注文画面が出てくる。どの会社の何番のタクシーが来るかを把握することができる。
画面上で配車の注文を行うと、最寄りのタクシーを検索後、配車されるタクシー会社名、ドアや窓、行灯の下に記載されている無線番号を教えてくれる。あとは、それを目印にタクシーに乗ればいい。
これまでも一部のタクシー会社が独自に同様のサービスを提供していたが、「スマホ de タッくん」は一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会が音頭をとって開発をしたため、複数のタクシー会社が参入し、台数が多いのが特長だ。東京23区及び武蔵野市・三鷹市を対象エリアとして、サービス開始時は約6500台、2014年4月には約9200台まで拡大するという。
実はこうした配車アプリは、アメリカを発祥とする「UBER」やイギリス発の「HAILO」など海外で先に普及していた。
UBERは、最寄りのハイヤーがどこを走っているかをスマホの地図で確認できるのが特長。運転手の顔写真や、利用者からの評価、車種なども確認ができる。「せっかく乗るなら、ちょっと待ってもいいから評価の良いドライバーで」という選び方ができるわけだ。
クレジットカードをあらかじめ登録することで、車内での支払いは現金もいらなければカードも不要。スマホで「支払い」を選ぶだけで、オンライン上で決済が完了する仕組みとなっている。
そんな「UBER」はすでに東京都内で試験サービスを開始しており、「HAILO」もKDDIが出資しており、大阪地区でサービスを提供している。
今回、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会が中心となって、アプリを作り、複数のタクシー会社が参加した背景には、外資系ベンチャーの日本上陸に危機感を抱いたという点もありそうだ。
現状、呼べる台数という点では、「スマホ de タッくん」が圧倒的に多い。UBERは数台程度しかなく、台数はかなり限られるが、スマホで決済できたり、実際に周辺のどのあたりを対象車が走行しているかなどの細かな情報が分かるのが魅力だ。料金はやや高めの設定だが満足度は高い。今回のようにタクシー業界とスマホが結び付いたことで、今後はサービス競争も期待できるのかも知れない。
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