グランフロント大阪を活用した効果的なプロモーションを提案「体験型プロモーションフォーラム」

体験型イベントや空間(スペース)を効果的に活用した新たなコミュニケーション施策が注目を集め、大型商業施設などを中心に企業の世界観を打ち出したイベントが活発に開かれている。

こうした体験型プロモーションの新たな拠点として期待されているのが2013年4月に開業したグランフロント大阪だ。3月20日に、グランフロント大阪で開催された「体験型プロモーションフォーラム」をレポートする。

利便性と広さを備えた、東京にはない施設

オープン10カ月で来場者が4,600万人に上り、関西商業施設の中心となったグランフロント大阪。JR大阪駅前という一等地に立地する都市型施設としてさまざまなプロモーションの仕掛けが盛り込まれており、新しい「まちづくり」の実践は行き交う人々に多様な体験価値を提供している。

本セミナーにはその可能性を体感しようと、企業のマーケティングや販促部門の担当者ら約120人が参加した。

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第1部のパネルディスカッションのテーマは「デジタル時代だからこそ、リアルな体験が価値を持つ!~ ユーザーコミュニケーションの新潮流『体験価値』~」。体験型プロモーションの実践を重ねている3社のマーケティング担当者がパネラーとして参加した。

まずグランフロント大阪の印象について、アディダスジャパン・Running/Outdoorビジネスユニット・ブランドマーケティングマネージャーの西脇大樹氏は、「駅チカでこれだけ大きな規模の洗練された施設はすごい。マーケティング活動を行う身としても、プラスの表現ができる場所」と話した。

また、「なにより広々としたスペースがあり、買い物はもちろん楽しめる環境」とエスティ ローダーグループのクリニーク事業部マーケティング本部長の石橋浩子氏は語った。

そして、日本コカ・コーラ コンテントエクセレンスの大澤央人氏は「東京でプロモーションをする場合、スペースは広いが中心地から離れている、便利だが場所が狭いなど、広さと利便性の両立が難しい。その点、グランフロント大阪は利便性も広さも兼ね備えているのは魅力」と述べた。

体験型プロモーションの実践を通じて感じている消費者の意識の変化について、アディダスジャパンの西脇氏は「著名な選手へのあこがれや、かっこいいという共感だけでは消費者は動かなくなった。ブランドを通して消費者自身にどれだけ質の高い体験を得てもらえるかどうかが問われている」と指摘した。
 

体験型プロモーションの実践例を紹介

続いて3人からそれぞれの体験型プロモーションの実践について説明が行われた。

クリニーク(エスティ ローダー グループ)

クリニークの石橋氏は昨年9月、六本木ヒルズで、創業来の基幹製品である乳液の処方改良をPRするためにオープンしたポップアップストアを紹介。

「百貨店では対面販売を行っているが、ターゲットとする世代の百貨店離れが進んでいる。また、検討から購入までの間にはさまざまなプロセスがあるので、ここでは1か所ですべてのプロセスが体験できます。スキンケアからメークアップまでを提供したかった」と狙いを話す。

ポップアップストアでは、ベーシックケアの方法をバーチャルナビゲーターと対話しながら体験できるタッチスクリーンを用意。

「皮膚科医による処方からスタートしたブランドのヒストリーも体験してもらうことで製品理解も進んだ。また、ポップアップストア来店者だけの特別サンプルを配布する施策をおこなったところ、予想よりも多くの方を実店舗に集客し、店外体験を来店につなげることができたといえる」と手応えを口にする。

日本コカ・コーラ

日本コカ・コーラの大澤氏は、昨年に実施したスプライトのプロモーションを紹介。ボタンを押すと、上から高速で落ちてくるスプライトが豪快な水しぶきをあげる巨大な「スプラッシュ自販機」をアイコンに、まずテレビやYouTubeでCMを展開し話題性を醸成。それを受け、7月以降は「スプラッシュ自販機」が街中に登場するイベントを全国各地で開催した。

「スプラッシュ自販機」を体験した人たちを撮影したインタラクティブムービーを「スプラッシュムービー」としてウェブ上で流せるようにするなどの施策で大きな反響を呼び、全国のスプラッシュ体験者は13万8千人に上った。

「単に製品をアピールするのではなく、コンセプトである“瞬間爽快”が伝わる体験にこだわって伝えるようにした」と大澤氏。

アディダス ジャパン

アディダス ジャパンの西脇氏は、昨年2月末にクッション性と反発性を両立させた新素材を靴底に採用した「boost(ブースト)」のプロモーションについて紹介した。

「プロモーション予算が限られ、テレビCMをわずかしか打てない中でどう認知拡大させ、誰も経験したことのない履き心地を感じてもらうかがテーマだった」と振り返る。

同社契約アスリートに履いてもらったときの本音を収録した映像をYouTubeで放映し期待感をあおった上で、東京マラソンに合わせて行われるイベントにブース出展して体験型イベントを実施。「ブースト」をかたどったランニングマシンを製作し、雲の上や宇宙を走っているように感じられる映像空間を演出。

「メディアはもちろん、体験者からフェイスブックやツイッターなどを通じて“すごく気持ちいいところを走った”という感想が広まり、同時にシューズの便益も伝えられた」と西脇氏。

最後に、今後の体感型プロモーションの進め方については、いずれも「さらに重要性を増していく」としたうえで、クリニークの石橋氏は「清潔感のあるメークが求められる就活生など生活スタイルやライフステージと結びつけ体験の場を提供していきたい」などと述べた。

次ページ 「グランフロント大阪の概要とメディア活用事例」に続く


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