本欄では、広告主、広告業、メディア、クリエイターなどの垣根を超えて広告界の未来を本音で語りつくした2日間のセミナーの一部を紹介します。
目次
- 1ページ目 ターゲティングの「5W」と「3つのP」――アドビ システムズ
- 2ページ目 体験価値を高める、データドリブン コンテンツマーケティング(DDCM)――アドビ システムズ
- 3ページ目 購買情報(POS)をもとにしたターゲティングによる新しい広告の可能性――カタリナ マーケティング ジャパン
- 4ページ目 消費者の視線を可視化し、広告効果最大化を図る~マーケティングリサーチにおけるアイトラッキング活用技術~――トビー・テクノロジー
ターゲティングに必要ないくつかの事
<登壇者>
- アドビ システムズ コンサルティングサービス部 シニアコンサルタント 安西 敬介 氏
- コンサルティングサービス部 コンサルタント 田口 恭平 氏
セミナーは3部制が取られ、第1部ではアドビ システムズの田口恭平氏が登壇、「ターゲティングとは何か」について解説した。
コンサルティングサービス部でコンサルタントを務める田口氏は、「適切な人に適切なメッセージを届けることがターゲティングの根幹」と話す。企業によるターゲティングを活用したコンテンツの提供は、まだ成長の余地ある分野。「ターゲティングの価値を担当者レベルから、組織レベルの理解に高めることが必要」だと、田口氏は分析する。
組織としてターゲティングを活用するために重要なことは「ひとつは、ターゲットを設定する上での仮説の設定」だ。この仮説の設定に必要なポイントは、アドビ システムズのシニアコンサルタント、安西敬介氏が第2部で紹介した。
安西氏が強調するのは「ゴールの明確化」。ターゲティングはその目的、例えば「最終的に、どれくらいの商品購入に結び付けたいのか」といったコンバージョンの目標設定などを、明確にしておくことが肝要となる。ターゲティングは、そのゴールに到達するためのひとつの手法でしかないからだ。
その上で、仮説を次のようにブレークダウンしていく。「誰に」メッセージを届けるのか。「なぜ」その人に送るのか。「何を」「いつ」伝えるのか。その情報に触れるのは「どこ」か。「ターゲティングには、この5Wが重要で、どれが間違っていてもゴールに結びついていきません」と安西氏は話す。講演では、セグメントを絞る方法や、ターゲットを誘導するコンテンツについても具体的な事例を交えて説明がなされた。
第3部でポイントとなったのは、チームビルディングだ。田口氏と安西氏の両氏は、「広告から解析、ターゲティングやCRMまで、すべてひとりでわかるようなスーパーマンはどこにもいません。適切な価値を生みだすにはチームビルディングが重要」と強調。ターゲティングは、そのためのシステムやテクノロジーとしての「プロダクト(Product)」が重要なだけでなく、「プロセス(Process)」をしっかり定義すること、そして何より、運用する「ピープル(People)」を育成するという、「3つのP」が大切だとしてセミナーを締めくくった。
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