日本電信電話株式会社とNTTレゾナント株式会社は、本日より、究極のシンプルコミュニケーション「暗黙知通信」の実証実験を「暗黙知通信トライアルポータル」上にて開始いたします。
本実証実験は、究極のシンプルコミュニケーションの可能性を探るもので、5月19日より平成24年2月末までの実施を予定しています。なお本実証実験サイトはNTTレゾナントが提供する実証実験サイト「gooラボ」の実験一覧からアクセス可能です。
実験の背景
近年、ネットワークのブロードバンド化が進み、遠隔地にいる人とも音声のみならず映像を使ったコミュニケーションが可能になりました。電話では、声の調子や会話の間から相手の感情を読み取るしかありませんでしたが、映像を使うことで、相手の表情からも相手の感情を読み取ることができ、より豊かなコミュニケーションが実現されています。
一方でミニブログやSNSの「いいね」ボタンのように、ごく少ない情報量のコミュニケーションも盛んに利用されるようになり、コミュニケーション手段の多様化が進んでいます。今回NTTの研究所とNTTレゾナントは、「多くの情報を伝え合うコミュニケーション」ではなく、「極限まで情報量を減らしたコミュニケーション」に着目し、家族や恋人、友人など、ごく身近な人と同じ空間にいることで共有される「暗黙知」(*1)を遠隔でも実現することができないかと考え、今回の実証実験を実施するものです。
(*1) 暗黙知:形式知の対となる語として、経験や勘に基づく知識のことで、言葉などで表現が難しいもの、と定義される。
実験の特徴
本実験における「暗黙知通信」とは、コミュニケーションをとりたい特定の相手に対して、携帯電話のボタンを1プッシュすることで、相手との意思疎通を図るものです。言葉を使わずに、意思を伝えるもので、お互いに継続的に伝えあうことによって相手との相互理解を深めることを目指すノンバーバル・コミュニケーション(*2)です。信頼関係で結ばれた家族や友人が「おい」「あれ」といった言葉だけで「分かり合える」コミュニケーションを、モバイルを使って遠隔で実現することを目指した、まったく新しいユビキタスコミュニケーションとしての可能性を検証します。
(*2) ノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション):言葉以外の手段を用いたコミュニケーション(メッセージのやり取り)の手法のこと。 顔の表情、顔色、視線、身振り、手振り、体の姿勢、相手との物理的な距離の置き方などが用いられる。暗黙知通信では、携帯電話のボタンを1回押すワンアクションをノンバーバル・コミュニケーションのツールとしている。
実験の概要
本実証実験は、トライアル用ポータルサイト「暗黙知通信トライアルポータル(URL:http://amc.ilab.ntt.co.jp/)」から携帯電話アプリケーションをダウンロードしてユーザに利用していただくもので、利用動向のデータを蓄積し、有効性をはじめとした多角的な検証・評価を行います。
(1)期間
平成23年5月19日~平成24年2月末(予定)
(2)システム構成
トライアル用ポータルサイトからダウンロードした携帯電話用の暗黙知通信アプリと、アプリから通知されるコミュニケーションの意思を蓄積する暗黙知通信サーバによって構成されます。
(3)検証項目
サーバ上に蓄積された意思通知データの分析と任意でお答えいただくアンケートによって、以下の項目について検証・評価を行います。
①コミュニケーション状況
暗黙知通信アプリを通じて相互に意思通知を継続することによる、コミュニケーション状況。どの時間や曜日にやりとりが多いのか、どのような感情や気持ちが背景にあったのかなどの検証。②他コミュニケーションの誘発
暗黙知通信アプリを通じて相互に意思通知を継続することで、他の従来手段によるコミュニケーションを誘発することの検証。③暗黙知通信サーバ技術の検証
ユーザが暗黙知通信アプリを通じて発生する大量の意思通知データを継続的に集約・蓄積する機能、および蓄積データから効率的に意思通知履歴データを抽出し、アプリに配信する機能の検証。
利用方法
①暗黙知通信トライアルポータル(URL:http://amc.ilab.ntt.co.jp/)より携帯電話用アプリをダウンロードし、待受けアプリとして起動。
②アプリをダウンロードした携帯に、暗黙知通信したい相手の携帯電話を重ねiC通信(*3)を経由して招待用のURLを通知。
③招待された相手は、iC通信で渡された招待用URLからアプリをダウンロードし、待受けアプリとして起動。
④待受け画面からアプリを起動し、「伝」ボタンを押して相手に通知することでコミュニケーションを開始。画面には相手がボタンを押してくれた情報と自分がボタンを押した情報が表示される。
(*3) iC通信:NTTドコモのおサイフケータイに搭載されている機能で、携帯電話同士をかざすだけでデータをお互いにやり取りできる。
今後の予定
NTTでは、今回の実証実験で「暗黙知通信」の有効性について検証し、実空間のコミュニティで行われるリアルなコミュニケーションを補完する新しいユビキタスコミュニケーションの研究開発を引き続き進めていきます。また、NTTレゾナントでは、本実証実験で得られたデータをもとにユビキタス通信インフラを活用した新しいコミュニケーションサービスの可能性を追及してまいります。
「暗黙知通信」利用・アプリダウンロード方法イメージ
http://pr.goo.ne.jp/files/besshi_1-2.pdf