森永製菓、動画で共感を呼ぶポイントは「短尺でシンプル」「広告色を出しすぎない」「手作り風の素人テイスト」——SIMC2014レポート

講演者

  • 岩崎 育夫(森永製菓 コーポレートコミュニケーション部 Webコミュニケーショングループ マネジャー)

近年、動画を活用したWebコミュニケーションに力を入れている森永製菓。11万人超のファンを持つFacebookページでもオリジナル動画を紹介しており、2013年9月からは6秒動画のVineを使ったコンテンツの配信をスタートさせた。

動画コンテンツ強化で、SNSのファン数伸び率もアップ

森永製菓では毎週水曜日に1本ずつVine動画を配信しており、既に40本以上が制作されている。大手企業の中でもいち早くVineをプロモーションに取り組んだことで、代表的なVine活用例として注目された結果、これまでテレビの情報番組などでも制作風景や裏側が取り上げられた。

森永製菓 コーポレートコミュニケーション部 Webコミュニケーショングループ マネジャー岩崎 育夫氏

内容は「おかしな6秒動画」と題したもので、森永のミルクキャラメルやチョコボール、チョコモナカジャンボといったお菓子の中身やパッケージをモチーフに、季節の挨拶やエイプリルフールの仕掛けなどを6秒の動画の中で表現している。

同社のWebプロモーションを管轄する岩崎育夫氏(コーポレートコミュニケーション部Webコミュニケーショングループ マネジャー)によれば、6秒の動画とはいえ、その制作時間は1本あたり1時間ほどかかるという。

森永製菓の企業コミュニケーションは伝統的にテレビCMのウエイトが高く、かつてはCM動画をそのままWebサイトにアップするといった取り組みが多かった。ところが近年は従来からあるテレビCMが効きづらくなったという実感とともに、Webに対する取り組みのウエイトが徐々に高まりつつある。

その背景について、岩崎氏は「マス広告のメディアパワーとSNSなどを通じた拡散力を組み合わせることで、より多くのお客さまと関係を構築し、ファン化しようとする取り組みが増えている。常日ごろからお客さまとのエンゲージメントを高めておくことで、実際にFacebookやTwitterのタイムラインを見て購買につながるというケースも出てきている」と説明する。

まじめで実直なイメージの同社だが、Vineの活用以外にもネット上でユニークな動画を多数公開している。

社員が出演し、チョコレート菓子のダースを使ってモザイク画をつくる動画「森永製菓社員がダースでやってみた~モナリザを叫ばせるまで~」や、アイドルグループ・関ジャニ∞のメンバーによるユニークな実験風景をWebで限定配信した「MORINAGA オカシな実験室」、クレディセゾンとチョコボールのコラボレーション動画「キョロちゃんの瓦割り」など、セミナーでは岩崎氏の説明とともに多数の動画が紹介された。

「実際に森永製菓の企業イメージ調査を分析すると、認知度が高く親しみを感じてくださるお客さまが多いものの、新規性ある取り組みが弱いという印象があるのが課題。

Webはあくまで新たなコミュニケーションの実験の場と位置付け、斬新なコンテンツもトライ&エラーを繰り返していければ」と岩崎氏。「拡散の原動力は『共感』にあり、『共感』のストライクゾーンを探るには数多くトライすることが必要」と述べ、締めくくった。

なお、岩崎氏がこれまでの経験から実感した、「共感」を生むポイントは以下の3つに集約される。

(1)短尺で、わかりやすくシンプル
(2)広告色を前面に出しすぎない
(3)時には手作り風の素人テイスト

つまり、完成度の高い動画が必ずしもユーザーに受け入れられるとは限らないという気づきがあったということ。セミナーの終盤では、このようなポイントを押さえた動画の発信を始めてから、Twitterのフォロワー数やFacebookページのファン数の伸び率が飛躍したと実際のデータとともに示した。

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