「存在意義はユーザーに支持されているか? 組織としてお互いを補い合うことが大切」 ——ヤフー執行役員 宮澤氏に聞く

【前回のコラム】「「社長に直談判できる場を積極的に活用できるか」——OKWave 兼元社長に聞く」はこちら

時代の流れがますます速くなっている昨今、求められる人材においても、そうした流れに翻弄されることなく、しっかりと考えて行動できる「マーケティング思考」が、マーケティング部門のみならず、あらゆるビジネスパーソンに求められる時代になってきている。
このコラムでは、そうした「マーケティング思考&行動」ができる人材を育成するにはどうすればいいのか?企業のトップに、人材育成について考えていること、大切にしていること、実践していることなどを聞いていく。
今回は、ヤフーの検索サービス部門のトップとして、さまざまなサービス開発に挑む、執行役員 検索サービスカンパニー長 宮澤弦氏に聞いた。

大きな会社だからこそ大切な“起業家マインド”

——貴社が社員に対して“求めている力”とは、どのようなものでしょうか?

ヤフー 執行役員 検索サービスカンパニー長 宮澤 弦 氏

起業家マインドが必要だと思っています。私自身、起業を経験していたこともあり、ヤフーの中で起業家的に動いています。起業家は世の中にある課題を「こうして解決したい」という想いがあり、それを形にしていくもの。ただ、それはあくまで意識の持ち方なので、組織の中にいても十分できること。だから“ヤフーだからこそできることは何か?”という考え方でいることは大切です。私自身そうありたいと思っているし、自身のチームや部下にも同様に起業家マインドを持って事業を行ってほしいと考えています。

——そういうマインドを強く持つためにはどうすればいいのでしょうか。

やはり「自分たちが成し遂げたいことは何か?」ということを明確に持つことでしょう。例えば私がかかわる検索であれば、「検索でみんなの生活を豊かにする」をテーマに、そのためにマーケティング、プロダクト開発など、どのようなことができるかと考えています。そうした中で出てきたのが、検索窓に「3.11」と打ち込むと寄付につながるという企画です。

また、現在の商品、サービスに対して疑問を持つというのも大切です。「検索は本当に全てを解決してくれているのか?」などと考えて、表面的な疑問だけでなく「もっと根源的なことの解決につながる検索サービスってなんだろう」と考えたりとか。現在は、そうしてサービスを開発しているところもありますね。

それと、一番大事なのは「それがユーザーに支持されているか」ということだと思っています。私たちの存在意義は、やはり「ユーザー数を増やすこと」。多くの人の生活を豊かにしたくても、ユーザーが増えないと独りよがりになってしまいます。

——「便利」というのは比較的数値や目に見える形で示しやすいですが「豊かさ」というのは人それぞれですよね。そのあたり、チームでどういう話をしているのでしょうか。

あえて「検索で生活を豊かに」としているのですが、その理由は発想に限界を設けないようにするためです。チームの人たちにクリエイティブであってほしいと思っているので、数値で示せることよりも、そうではない「豊かにする」としています。

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[マーケティング研究室]
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