エボラ出血熱感染拡大の最前線

WHO(世界保健機関)は9月23日、2800人を超える死者を確認するとともに、医療現場では隔離施設が少なく入院できない感染者が多数戸別訪問などで日々増加している状況から、11月までに2万人を超えるとの予測を発表した。

一方、CDC(米疾病対策センター)は、9月26日、今のままの状態が続けばリベリアとシエラレオネの感染者は来年1月までに55万~140万人に達する恐れがあるとの推計を発表し、関係者に衝撃を与えている。

かねてからオバマ大統領は、米国への感染を懸念し、色々な対策を講じてきたが、10月1日、CDC(米疾病対策センター)は、米国成人男性1人が西アフリカのリベリアから米国へ入国し、西アフリカ以外での第三国での初めての感染が確認された。

当該男性は、出入国時点では健康状態に問題はなく、24日頃から症状を訴え始め、28日よりテキサス州ダラスの隔離病棟に入院している。CDCは、エボラ出血熱が空気感染しないことから、飛行機内の乗客や乗員が感染する確率はゼロ%とコメントを発表したが、入国後、親族と共に滞在していたことから、さらに感染が広がるかが注目されている。

エボラ出血熱の潜伏期間は2日から21日間で、出入国時点で症状が現れていない場合には、そのまますりぬけ、第三国での発症というリスクを拭い得ない。CDCや他の感染症専門家においても、いつかそのような事態が発生し、西アフリカ以外の第三国への感染が確認されることは遠からずある、との警告を発していた。

WHOによれば、9月23日時点の3091人、感染者は疑いのある人も含めて6574人とされているが、多くの村や地域で未受診者がおり、全体の総数は大幅に増加するとの見込みがある。

WHOが懸念していた第三国への感染が現実となった今、各国が感染拡大に対する自国への備えを再検証すべき時期と考えるべきだ。


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白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

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