僕は海外を拠点にしながら、かれこれ数年間制作活動をしてきました。それもあって、海外にいながら海外のクリエイティブの現状をこの連載にまとめさせていただいていたのですが、今は東京でこの原稿を書いています。今回戻ってきているのは、一時帰国じゃありません。
僕は先頃Wieden+Kennedy(ワイデン+ケネディ)New Yorkのクリエイティブディレクター職を離れ、本日、 伊藤直樹(元W+K Tokyo ECD)、原野守弘(元Drill 創設者/CD)、清水幹太(元IMG SRC テクニカルディレクター)、中村洋基(元電通 CD)という仲間と共に、「PARTY」という会社を始めました。 僕が今までこの連載で書いて来たようなビジョンや悩みを共有している仲間と、日本から世界へ勝負できるクリエイティブ・ラボを作るのが目的です。
Advertimesを読まれている方には、これがどういったメンバーなのかは説明しなくても判っていただけるかと思います。個人的には日本人というフィルターを抜きにしても、世界中で見て来たクリエイティブたちの中でトップクラスのメンバーだと思っています。そういった人たちと出会い、こうして一緒に会社を立ち上げられるのも、海外で得た経験があってのことのような気がしています。
PARTYという言葉には二つの意味があります。一つは単純に「人が集って楽しむ場」という意味。日本の優秀なクリエイティブの方々や、世界を驚かせられるモノを作りたいクライアントの方々を集めて、パーティーをするかのように楽しみながら面白いモノや体験を作っていきたいと思っています。
もう一つは、「別々の個性を持った人々が一つの目的のために集まる」といった意味です(ドラクエの「パーティー」をご想像ください)。「日本から世界へ発信する」「アート/インタラクティブ/アドバタイジングの融合」「テクノロジーと物語性のかけ算」。そういった同じ目的を実現するために、バラバラの背景やスキルを持った5人が集まっている、そんな僕らにぴったりな名前だと思っています。そしてぜひこのPARTYという輪を他の人々にも共感してもらって、広げていきたいと考えています。
このメンバーの名前を見ると、明らかにインタラクティブやアドバタイジングに強いけれど、それだけにこだわりたくないと思っています。むしろ、 広告、アート、プロダクト、サービス、コンテンツ、といったメディアをまたぎ、カテゴリーにこだわらず、様々なジャンルにおいて僕らのアイデアやクラフトやクリエイティブディレクションを活かしていきたいと考えています。以前の回でも書きましたが、個人的には特に「アート/インタラクティブ/アドバタイジングの融合」を目指すことにすごく興味があります。
それをするにおいて、個人的には、最強のクリエイティブディレクターとテクニカルディレクターのチームを実現できたと感じています。アイデアを考え、実際に作ることができるチーム。プロトタイプの制作から必要ならフィニッシュまでできる。これが実際に実現できているエージェンシーやプロダクションは、世界にもまだ存在していません。世界のエージェンシーやクリエイティブが悩み模索していることを、僕らが日本を皮切りにフットワーク軽くやっちまおうという野望を持って取り組んでいきたいと思っています。(次ページに続く)