前回のコラムはこちら
9月17日と10月1日付のコラムで「アドテック東京」と「ワールド・マーケティング・サミット」について触れ、フィリップ・コトラー教授の「Marketing 4.0」発言などをもとに、企業のマーケティングはオウンドメディアのプラットフォーム上で展開されていくであろうという仮説を紹介した。さっそく、この2週間ほどでそれを裏付ける動きが3件ほど出てきた。
筆者も正直このような動きが加速しているとは思ってもいなかったが、各施策は相当入念に準備されていると思われ、他にも進行中のものが多数あるのであろうと予想される。このような動きはまさに次世代のマーケティングプラットフォームの原型と言えるのではないだろうか。
今回のコラムではMarketing 4.0に発展した背景と、最近発表されたそれぞれの取り組みの概要を紹介したい。
取組1) KDDIなど12社、入口のないポータル:Syn.構想を発表(10/16)
取組2) T-MEDIAホールディングス、既存サービスを統合しT-SITEをオープン(10/22)
取組3) ライオンが生活メディアLideaを開設(10/23)
取組1) KDDIなど12社、入口のないポータル:Syn.(シンドット)構想を発表(10/16)
10月16日にKDDI(au)などスマートフォン向けインターネットサービス全12社(アイスタイル、AppBroadCast、ウェザーニューズ、KDDI、ジョルテ、ナターシャ、nanapi、ナビタイムジャパン、はてな、VASILY、ビットセラー、ルクサ)が、新たな連合体「Syn.alliance (シンドットアライアンス)」を設立した。12社13サービスの月間ユーザー数は計4100万人にも上る。
各社は共通のサイドメニュー「Syn.menu(シンドットメニュー)」を導入し、「ニュース」「天気」「カレンダー」といった項目を設け、各社サービスへのリンクを並べるというものである。
また「Syn.ad(シンドットアド)」広告も表示するほか、サービスを横断して新着情報を通知する機能も実装して、あたかも同じサイトであるような演出をするというものである。
本件は正確にはオウンドメディアと定義するのは違和感を覚える方もいるかもしれない。しかし筆者は、あえてスマートフォン時代に通信キャリアがサービスを束ねオウンドメディア的に活用している事例として捉えたいと考えている。
というのも、スマートフォン時代にはアプリが中心の構造すなわちサービスが「点」として存在しているものを束ね、「面」で取り扱うことにより、ユーザー体験を損なわずにサービスの提供が可能になるからである。
あくまでも筆者の推測であるが、「Syn.menu」をアプリ化したものがあれば、それ自身がKDDI(au)のポータルとして機能することになるので、将来同社スマートフォンの初期画面で導入されるのではないかと考えている。
次ページ「取組2) T-MEDIAホールディングス、既存サービスを統合しT-SITEをオープン(10/22)」に続く