Twitterは視聴率を上げることができる?ソーシャルテレビで何ができそうになっているかを考える

【前回記事】「動画制作のクラウドソーシングから見えてきた!映像制作者は自分たち自身を価値付けせねば。」はこちら

スマホをいじりながらテレビも、という時代

“ソーシャルテレビ”という言葉があります。

2011年頃からでしょうか、アメリカで使われはじめた言葉で、すぐに日本でも話題に上るようになりました。意味は・・・多様に解釈されています。ソーシャルメディアとテレビで相乗的に起こること全般と受け止めていいでしょう。

いちばんわかりやすく、またこの言葉が使われる入口となったのは、「テレビを見ながらTwitterを使うこと」です。ソーシャルテレビのいちばん狭い解釈はここでしょう。サッカーをテレビで観戦しながら、点が入るとタイムラインに「ゴーーーール!」というつぶやきが並ぶ。そういったテレビの視聴は、いまや若い人の間ではごく普通のことでしょう。

と言うより、若者たちの朝から晩までスマホをいじってTwitterやLINEでコミュニケーションをとる生活の中にテレビ視聴があり、テレビを見ながらスマホも、ではなく、スマホをいじりながらテレビも、というのが正確なのだと思います。

ソーシャルテレビという現象に業界の一部が注目せざるをえなくなった大きなきっかけが、2011年12月、日本テレビで『天空の城ラピュタ』を放送した際の“バルス祭”でしょう。主人公たちがクライマックスで叫ぶ崩壊の呪文「バルス」を、そのシーンに合わせて一斉につぶやく。そんな遊びが誰からともなく呼びかけられ、2万5千を越える瞬間ツイート数を記録しました。

そしてその際、ほぼ二年ごとに放送される『ラピュタ』の視聴率が前回よりほんの少し上がっていたのです。その差は1%に満たないもので、誤差の範囲なのですが、同じころにアメリカから「番組に関するツイート数が9%上昇すると視聴率が1%上がる!」という話が伝わって来て、にわかに「それ!Twitterだ!(なんだか知らんが)」という空気に包まれました。ちなみに『ラピュタ』は2013年8月にまた放送され、バルスの秒間ツイート数も視聴率も2011年より上がっています。

次ページ 「テレビとソーシャルメディアの融合にメディアの未来がある」へ続く

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境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

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