「すごくうれしいです、実感はまだありませんが」――応募総数52万点の頂き、さすがに声が震えた。
日本最大級の公募広告賞「第52回宣伝会議賞」グランプリは、渡辺幸一さんのコピー「人生の半分は無職です。」(課題協賛企業=ゆうちょ銀行)が獲得した。12日午後の最終審査会でファイナリスト作品21点から選ばれた。
課題は 「『こつこつ貯金することが、カッコイイ』と思えるアイデア」だった。渡辺さんは、「実は私自身、無職だった期間がありました。当時、貯金できている人を見て、格好いいと感じたこと、それをそのままコピーにしました」と、企画意図を明かした。「賞金100万円は?」との質問に、「すぐにゆうちょ銀行に預けるつもりです」と答え、会場を楽しませた。
コピーゴールド、CMゴールド、眞木準賞といった主要賞も発表され、協賛企業賞41点の応募者らにも賞状と賞金が贈られた。主要賞の結果はこちら。
審査員長の仲畑貴志氏は、「日々、事情のかたまりのような表現がメディアに出ている。ですからこの場(宣伝会議賞)では思い切り振りぬいた、僕たちプロが怯えるくらいの作品に出会いたい。ただ面白かったのは、コピーゴールドの受賞作が実際に市場をつくれるようなコピーだったこと。こうした現実的なコピーでもゴールドを獲れるという、もう一つの鉱脈を見つけた」と講評。来年の宣伝会議賞に向けては、「爆発力か、実際のビジネスで力を発揮するコピーか――どちらの方向性のものがグランプリとなるかはわからないが、また新たな鉱脈に出会えるといいと思います」と期待を寄せた。
「宣伝会議賞」は、広告表現のアイデアをコピーとCM企画で競う公募形式のコンペティション。1962年、雑誌「宣伝会議」の創刊100号を記念して創設された。企業の実際の商品を課題としており、52年目の今回は41社が課題を提供した。