- アサヒフード アンド ヘルスケア食品 マーケティング部長 林 和弘 氏
- カルビー マーケティング本部 ストラテジックブランディング部 部長 山村 眞 氏
間食への罪悪感を払しょくする
——スナック市場は横ばいと言われており、いかに市場を活性化していくかが課題となっています。
山村: カルビーの売り上げの中心を占めるポテトチップスは、アメリカではギルティスナック(罪悪感のスナック)と言われており、日本でも親御さんが子供に食べさせたくないお菓子とたびたび言われます。そこで「ベジップス」や「カルビーライト!」など健康志向のスナック菓子を投入してスナックビジネスに刺激を与え活性化を図っています。
林: お客さまへのリサーチでは、本当は間食したいけれど食べないようにしているという方が半数以上いらっしゃいました。アサヒフードアンドヘルスケアが発売した「キレイな間食」シリーズは、「間食を少し肯定的に捉えませんか?」と、新しい価値観を提案した商品です。原料に栄養価が高いドライフルーツやナッツなどの自然素材を使用することで、食べる価値があることを訴えかけています。スナック菓子への罪悪感を肯定に変えるには、商品の素材やコミュニケーションの工夫が非常に重要です。また、食事と食事の隙間に入りこむシーンづくりも大事です。当社の主力商品「ミンティア」は、仕事の合間のリフレッシュタイムなど、ほとんどオンタイムで需要があります。
山村: 食べる時間ということで言えば、「フルグラ」で朝食ビジネスを確立したい。日本の朝食ビジネス市場は17兆円とも言われています。フルグラを中心に、朝に食べる食品や食べるシーンを提案する新ビジネスのドメインを作りたいですね。
——新市場をつくる場合、商品を認知させ、どう店頭に並べるかも課題になります。
林: マーケティング部門が最初に直面する課題が、流通にどう入りこむかで、昨今はこのハードルが高くなっている。流通さんへのプレゼンは、商品そのものを説明するよりも、お客さまが選ぶ時のインサイトを説明する方が効果的です。店頭では、「この商品は売れています」など、売り場担当者さん直筆のPOPがお客さまに響くようです。
山村: 長年固定化されているポテトチップスの売場では、ベジップスなどの新商品は厳しい戦いを強いられます。これはアメリカの事例ですが、スナックの棚では太刀打ちできなかった「スナッピークリスプ(さやえんどうのスナック)」を、野菜売り場や惣菜売り場に置いてもらいました。スナッピークリスプはスナック菓子ではないというポジションを取ったのです。おかげさまで、現在100億円規模の商材に育っています。スナック菓子売り場に置けば、こちらが何と説明しようと、その商品はスナック菓子にしか見られませんが、売り場が変われば商品の見え方も変わる。ベジップスなどは日本でも同様の取り組みをしようと動いています。