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成熟化したと言われる環境下でも、新たな顧客を創造し、市場を創る経営トップがいます。そして、そこには瞬間的に売れるだけでなく、売れ続けるための全社を挙げた取り組み、さらには仕組み化があります。商品戦略、価格戦略、流通・販路戦略、プロモーション戦略に着目し、売れるためのアイデア、仕組みを解説・紹介していきます。
藤井愉三(ふじい・ゆうぞう)
アミファ代表取締役社長
1958年福井県生まれ。3歳で上京。82年青山学院大学文学部英米文学科卒業後、フジ産業入社。95年代表取締役社長就任。2000年アミファ設立、代表取締役就任。2014年10月フジ産業がアミファを吸収合併し、アミファへ社名変更。代表取締役社長に就任。現在に至る。
御用聞き営業からの脱却
デフレ時代の申し子とも言える勢いで浸透した「100円ショップ」。一時の爆発的な広がりはひと段落したものの、いまだに根強い人気を誇る。「安かろう、悪かろう」は昔の話。価格の高い商品であれば、質もいいはずという思い込みではなく、自らの目でコストパフォーマンスを判断する、スマートな消費スタイルを好む現在の消費者に「100円ショップ」は、一つの選択肢として確実に浸透している。そんな価格は安くとも、デザイン性も高い製品を志向する消費者から、いま支持を受けているメーカーがある。東京・青山に本社を置くアミファだ。
1973年に業務用包装資材製造卸として創業した同社だが、2000年以降、戦略的に最終消費商品の売上比率を高めてきた。アミファ・代表取締役社長の藤井愉三さんは「もともとアミファは、私の父がフジ産業という社名で、創業した会社。福井出身だったこともあり、90年代後半までは福井を産地とするサテンなどの資材織物を染色加工して、法人向けお中元・お歳暮用の贈答箱に使用される包装資材の加工販売を主力事業としていました」と、その成り立ちを話す。
当時は、大企業からの受注生産型のビジネス、いわゆる“御用聞き営業”が主体。しかし藤井さんが社長を引き継いだ後、2000年頃から、企業の虚礼廃止、交際費削減、ギフトの簡易包装化により、主力の法人向け中元・歳暮ギフト需要が激減。さらには、海外で生産されるか低価格品などの参入により、競争も激化。安定した売上と利益を確保することが難しくなっていったという。そこで前述の個人向け、家庭向け商品に重点を移す戦略に転換を図ることとなった。
具体的には、当時急速に店舗数を増やしていた100円ショップ向けラッピング製品の製造と花材事業。この二つの事業を選んだ理由は「包装資材製造で培ったノウハウを生かすことができる」ためだ。
現在ではオリジナルデザインの100円ショップ向け製品ブランド「amifa(アミファ)」。雑貨店、文具店など100円ショップ以外の流通をターゲットとした雑貨ブランド「Aimez le style(エメルスタイル)」、そしてプリザーブドフラワーや花器、花材のブランド「amifa fleur(アミファ フルール)」の3つを抱えるまでに、藤井社長が新しく取り組んできた事業は成長している。
しかし、事業モデル転換には大きなハードルもあった。「それまでの法人向けの事業は少品種大量生産のモデルでしたが、個人向けのビジネスは多品種少量生産が求められます。このモデルで利益を確保するためには、販売方法のドラスティックな変換、具体的には製造直売、SPA経営が不可欠と考えました」と藤井社長。そこで同社では、2001年9月から本格的にEC事業を開始。amifa fleurでは、現在ECの売上が全体の8割を占めるまでに成長している。
100円ショップ製品も同様に、ECでの直販を行ってはいたが低単価と送料がネックとなり、開始1年で撤退。藤井社長は「失敗はしたものの、書籍、音楽、ファッションとあらゆる商品にECの波が押し寄せているが100円ショップは、EC化の波に飲み込まれない数少ない業界の一つであるという気づきを得ることができた」と話す。100円ショップは、実店舗で買い物をする体験自体が一つの価値になっているとも言えそうだ。
アミファの製品の強みはデザイン力の高さにある。社内に14名のデザイナーを抱え、「amifa」ブランドだけで、年間で約700の商品を企画・製造している。「最終消費者の方たちに、『amifa』のファンになっていただければ、まだ『amifa』の商品を置いていない小売り店は当社の商品を取り扱わざるを得なくなる。最終消費者の真のニーズに合った商品をつくることで …
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