【前回記事】「テレビが危うい、「おばさん化」がはじまっている——ビデオにテレビが包含される時代へ」はこちら
Netflix登場でクリエイターの立場が高まる!?
今年秋のサービスインを2月に発表した後、あまり詳しい情報がオープンにならなかったNetflix。噂や憶測を含めて様々な情報が飛び交っていましたが、6月17日以降、日本代表のグレッグ・ピーターズ氏が会見に登場して取材にも応じ、プレス相手に顔を見せてくれるようになりました。
実は私も、前々からインタビューをお願いしていたところ、意外にも『新・週刊フジテレビ批評』のスタッフの方から久しぶりに連絡をもらってなんと、番組でグレッグ氏へのインタビュアーをやってくれないかと依頼されました。
6月17日にフジテレビとの共同制作の会見にグレッグ氏が登場したのは皆さんご存知かと思いますが、その日に時間をもらえてフジテレビのスタジオでインタビューしてきました。(その模様は6月20日の同番組内で放送されたので、見ていただけた方もいるかと思います。)
ただ、インタビューしてよくわかったのは、まだ何もわからないことがわかった、ということです。そのあたりは、こちらのブログ記事に書きました。
いくつかのポイントを箇条書きにしてみましょう。
この中で、目標数値を決めていないことは、他メディアに載ったCEOインタビューでも出てきて、そうは言っても信じられませんでした。ただ、彼らはVOD事業者としてとは別に、会社の考え方がとてもユニークな点が興味深く(だからこそ成長できたのでしょうけど)、その考え方を知ると信じられてきます。
そしてほんとうに目標数値を決めていないようです。走りながら考えるタイプなのでしょう。あるいは、やってみないとわからないことに目標を決めても意味がないのかもしれない。
そうは言っても、5年間で会員数10万になりました、なんてことでは済ますつもりもないでしょう。悠長な会社では決してないので、ありとあらゆる方策で会員獲得を目指すのは間違いないと思います。
制作スキームがケースバイケースだというのは曖昧ですが、資金は潤沢なので「お金を出す」のは間違いありません。そして一方で、クリエイターをとても尊重しているようです。この点は、当初言われていた「何でもデータで決めるやつら」という印象とかなり違います。
彼らはしきりと「エンタテインメントとテクノロジーの融合」を口にします。そして彼ら自身は、テクノロジーは持っているけどエンタテインメントはクリエイターの力を借りるのだと認識しているようです。
この感覚は、日本のコンテンツ文化に少しずつ新しい影響を与える可能性があります。日本では、お金も出すし口も出すし権利も持って行く、そんな姿勢が当然だと思われています。その結果、コンテンツの流通を握っている事業者がお金も出して全部持って行く業界文化があるのは否めないでしょう。
Netflixの登場で、実際に企画したり作ったりする立場を高めて行く、流れができるかもしれません。だとしたらいいことではないかな、と私は考えています。