大手広告主の宣伝部長の約半数が、フェイスブックの個人アカウントを所有しているー―。『宣伝会議』編集部が5月に実施した調査から、このような傾向が明らかになった。ツイッターの個人アカウントやスマートフォンの所有率も5割を超えており、1年前に本誌が行った同様の調査に比べて割合は増加。平均年齢47歳(*1)とされる、広告宣伝部門の責任者の間でもソーシャルメディアへの関心は高まっているようだ。
*1)宣伝会議調べ(2010年)
「震災後、旧友から“友達リクエスト”が届くようになった」
調査は「前編」の記事と同様に、大手広告主72社の宣伝部長・広報部長らに匿名でアンケートを実施したもの。その結果、「ツイッター」「フェイスブック」の個人アカウントを保有していると回答した割合がそれぞれ53.0%(前年比+12.3ポイント)、47.0%(昨年は調査項目なし)と約5割を占めた。また同時に実施したスマートフォンの保有率についての調査では、「スマートフォンを持っている」と回答した割合が56.1%で、前年比+31.0ポイントと大きく伸張している。
広告業界全体でソーシャルメディアへの関心は引き続き高いが、企業の広告宣伝部門の責任者らもその役割に注目している。特に東日本大震災をきっかけに「ソーシャルメディアの影響力、情報発信力、有用性を改めて感じた」「自分の周りでもフェイスブックの案内が旧友から多く届くようになった」など、個人の実感としても関心の高さがうかがえる。ツイッター、フェイスブックのアカウント所有率、スマートフォンの保有率の高まりについても、この状況を反映した結果と考えられるだろう。
「広告効果・効率」よりも、企業の「志・想い」を大事にしたい
なお今回の72社への調査を踏まえ、大手広告主全体で「効果・効率」重視という姿勢だけではなく、“改めて「広告」そのものの役割を見直そう”という新たな機運も感じられた。
1年前に編集部が同様の調査を行った際は、「最小の投資で最大の効果を上げたい」「実際の販促効果につなげたい」など、短期的な広告効果を課題とする企業が多かった。ところが現在は「短期的な効果にこだわるよりも、広告を通じて社会を活気付ける、企業の志や強い想いを伝えたい」「商品を供給する側の事情より、生活者の本音に目を向けたい」と考える企業が目立つ。
ソーシャルメディアについても「流行のツール」としてではなく、広告コミュニケーション戦略の一環として、長期的に生活者や社会とより深い関係を築いていくために活用する企業がより増えていくのではないだろうか。
※72社の今後の広告戦略の方針、震災後の対応についての実名回答は、6月15日発売「宣伝会議」の特集「3.11以降の企業の宣伝活動」にて掲載。
調査概要
調査方法:メール/FAX
調査対象:約100社(有効回答数:72社)の企業の宣伝部門責任者(宣伝部、広告部、広報部、コーポレートコミュニケーション部など)
調査期間:2011年5月6日~31日
※調査企業(72 社から一部抜粋)
旭化成/アサヒビール/アフラック/エステー/NEC/NTTドコモ/オリンパス/カルピス/キヤノンマーケティングジャパン/キリンビール/クラレ/グリー/KDDI/コーセー/サッポロビール/サントリービジネスエキスパート/シャープ/全日本空輸/ソニーマーケティング/ソフトバンクモバイル/ディー・エヌ・エー/東芝/トヨタマーケティングジャパン/日産自動車/日清食品ホールディングス/日本たばこ産業/ハウス食品/パナソニック/パルコ/富士重工業/富士ゼロックス/ブリヂストン/ミツカン/三菱電機/明治/森永製菓/ローソン 他