2003年ニューヨーク大停電発生!そこでは何が起きていたのか
2003年8月14日午後4時過ぎ、アメリカ北西部からカナダにかけた東部一帯に大規模(6,000万キロワット)停電が発生した。停電区域は米国東部のニューヨーク、クリーブランド、デトロイト、ペンシルベニア、バーモント、オハイオ、コネチカット、メリーランド、マサチューセッツ、ミシガンの各州をはじめ、カナダのトロントやオタワなど広い地域にまたがっている。
大都市では地下鉄や、エレベーター内に多数の人々が閉じ込められるなどの被害が出たが、その後ほとんどが救助された。停電が夕方の帰宅時間と重なったために、通勤・通学客の足が大混乱となり、アメリカ・カナダ両国で約5,000万人に影響を与えたと見られ、史上最悪の広域災害になった。16日にはほぼ復旧したが、ニューヨーク州知事などは、今後も再発の懸念があるとして、節電を呼びかけた。
29時間ぶりに復旧
停電から29時間後の現地時間15日夜、ニューヨークの電力はすべて回復したが、停電から36時間、一日460万人が利用するといわれる地下鉄は動かず、道路や交通機関は大混乱となり、ビジネスマンたちの中にはオフィスやタイムズスクエアなど野外で一夜を明かす人もいた。気温は30度を超え、エアコンが止まり、野外の方が快適で暗い室内にいるより、外にいるほうが安全だという人であふれていた。
ニューヨークは一般的にBig Appleと呼ばれるが、停電の最中はBlack Appleと呼ばれていた。暗闇から29時間が経過し、ようやくニューヨークは光を取り戻した。地下鉄も16日早朝、36時間ぶりに再開された。
ニューヨーク州、ニュージャージ州の非常事態宣言発令
ニューヨークでは市民の生活に大きな混乱が生じた。市民はスーパーマーケットなどにつめかけ、食料の買出しなどで混乱した。警察は混乱に乗じた略奪などを防ぐため4万人の消防、警察官を動員し上空からヘリコプターなどで監視を強め、警戒体制に入った。ロウソクによる火災などが1,037件発生し一部の都市で小規模な犯罪や略奪があったが、大規模な暴動や略奪は幸いに発生しなかった。
大統領の動向
ブッシュ大統領はカリフォルニア南部の米軍基地を訪問。海兵隊員らと昼食中に停電の一報を聞いた大統領は、直ちに記者会見して、ニューヨークなど北米の複数の都市で起こった大規模停電について、可及的速やかに復旧できるよう、連邦政府が被害を受けた州や地方当局と連携して対応している、としたうえで、停電の原因を調査する方針を示した。 大統領は記者団に対し、「停電はテロ行為によるものではない」と言明。そのうえで、「この大規模な国家的問題にゆっくりだが確実に対応している」と述べ、事態の打開に自信を示した。 (次ページへつづく)