Facebook 15億人のユーザーデータとテクノロジーで「消費者のための広告」をめざす

「宣伝会議」12月号(11月1日発売)に、ニューヨーク視察研修ツアーのレポートを掲載します。視察から見えてきた米国広告ビジネスの今、そして日本の広告界がめざすべき方向性を5つのキーワードで捉えます。こちらも、ぜひご覧ください。

ありのままの自分、等身大の自分でいることを推奨するのが、フェイスブック社のカルチャー。自身のオーセンティシティを大事にしながら、社内外の周りの人に目を向け、オープンマインドでかかわりを持つことが、新しいアイデアにつながる。オフィスは、そんな同社の自由でオープンな空気が感じられた。

2015年第2四半期の決算発表で、Facebookの月間アクティブユーザー数が対前四半期3.47%増の14億9000万人に到達したことが明らかになった。自らの興味・関心に合った情報・コンテンツに接触したいと望む消費者のニーズに、テクノロジーの力を駆使して応え続けてきたことが、現在のFacebookの存在感を不動のものにしている。

この巨大なコミュニケーション・プラットフォームを、企業がマーケティング活動に生かさない手はないが、従来メディアとの勝手の違いに、いまだ適応しきれていない企業も少なくない。

「人々が接触できる情報が国に管理されていた時代や、マスメディアによって規定されていた時代は過ぎ去り、いまはネットに接続しさえすれば、極めて多様な選択肢の中から自分の見たいものを選び取れるようになりました。『自分にとって何が重要なのか』『何に時間を割くのか』ということが、人々にとって重要な判断・決定事項となり、彼らの可処分時間を多くのメディアやコンテンツが奪い合っている状況です。こうした中、企業がマーケティング活動において、消費者にどのような価値を提供できるのかが、ますます重要になってきています。自社のためではなく、『人々のため』のものへとマーケティングが変化してきています」と、チーフ・クリエイティブ・オフィサーのMark D’Arcy氏は話す。

同氏は、Facebookで展開する広告に不可欠な要素として、①Build for mobile, design for feed(モバイルを前提に、ニュースフィードに馴染むデザインを)、②Create for people not pixels(広告のための広告ではなく、人々のための広告を)、③Storytelling(ストーリーテリング)の3つを挙げる。

「『Facebookの活用が最も優れているのはどの企業か?』という質問をよく受けますが、重要なのは“見る人”にとってレリバントで、心を惹かれるものであることです。人間性を尊重し、プライバシーを守る…『人』が最も重要であることを忘れてはいけません」とD’Arcy氏。

人間性を尊重したコンテンツの例として提示された、クリネックス「Unlikely Best Friends」。見る人をエモーショナルにさせる動画を通じて、ブランドのカルチャーを感じてもらう。

次ページ 「ユーザーコンシャスなコンテンツ制作を支援」へ続く

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