マーケティングオートメーションはNPOマーケティングの切り札となるか?

【前回記事】「NPOがメディアに取り上げられるための10カ条」はこちら

NPOをはじめとする非営利組織の最大の課題、マーケティング・コミュニケーションについて、3人のプロたちがさまざまな手法を指南するリレーコラム。最終周の2人目、長浜洋二氏が、マーケティングオートメーションによってNPOのマーケティングはどう進化するのかを解説します。

マーケティングオートメーションの登場

画像提供:shutterstock

2014年から2015年にかけて、Webマーケティング業界の話題をさらったマーケティングオートメーション(以下、MA)。その登場以降、サービスベンダーは自社のMAの仕組みやサービス内容、海外での導入事例の紹介などを行うセミナーを連日のように開催し、企業各社もこぞって導入に向けた情報収集を行うようになりました。Webマーケティング業界はまさにMA一色だったといっても過言ではないでしょう。

MAは、企業などの組織で実践されているマーケティング実行プロセスを効率化するための統合されたソリューションです。基本的な考え方は、マスではなく、カスタマイズされたOne to Oneのアプローチであり、誰に対して、どのようなタイミングで、どのような内容(製品・サービス、会員登録、イベント申し込みなど)を、どのような方法でアプローチするのかを細かく設計・実行するツールです。一般的な機能としては、獲得したリードの管理やスコアリング、データ分析、顧客リストのセグメント、コンテンツページや申し込みフォームの作成、メールテンプレート作成とスケジュール配信、ソーシャルメディアのモニタリング、キャンペーン管理、ダッシュボード・レポート機能、SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)などとの連携機能など、多岐にわたります。

一時期の盛り上がりからは一段落したように思いますが、MAはWebの世界のみならず、マーケティング実務そのものを変革しうるものであり、一過性のブームで終わるようなものではありません。一旦、組織に定着すると、通常の業務プロセスは自動化され、マーケティング担当者の役割はシナリオの作成と検証、キャンペーン企画といった“考える”部分に注力していくことになるのです。

次ページ 「NPOにおけるマーケティングオートメーションの価」へ続く

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マーケティング コミュニケーション実践論
マーケティング コミュニケーション実践論

■井出留美
office 3.11 代表取締役
青年海外協力隊時代に手書きで配信した「パル通信」、1305号配信した「広報室ニュースレター」など情報発信力が強み。NPOを様々な賞へ導いた実績や企業・NPOの広報室長などの経験を持つ。わかりやすい講演が好評、全国からの依頼は330回。外資系企業管理職から震災を機に退職、起業。メディア出演170回。博士(栄養学)。東京大学農学系(農学部・農学生命科学研究科)広報室会議オブザーバー。


■長浜洋二
PubliCo 代表取締役CEO
かわさき市民しきん評議員/シャンティ国際ボランティア会戦略アドバイザー/NPO法人CRファクトリー コミュニティ・マネジメント・ラボフェロー
1969年山口県生まれ。米国ピッツバーグ大学公共政策大学院(公共経営学修士号)卒。NTT、マツダ、富士通でマーケティング業務に携わる一方、米国の非営利シンクタンクにて個人情報保護に関する法制度の調査・研究、ファンドレイジング、ロビイングなどの経験を持つ。著書に『NPOのためのマーケティング講座』。

■鎌倉幸子
(シャンティ国際ボランティア会 広報課長補佐/認定ファンドレイザー)
青森県弘前市生まれ。アメリカ・ヴァーモント州にあるSchool for International Trainingで異文化経営学の修士号を取得。1999年、シャンティ国際ボランティア会にカンボジア事務所図書館事業課コーディネーターとして現地赴任。2011年に同団体の広報課に異動。広報の仕事と兼務しながら東日本大震災後、岩手県での移動図書館プロジェクトの立ち上げを行なう。著書に『走れ!移動図書館』(ちくまプリマー新書)。

マーケティング コミュニケーション実践論

■井出留美
office 3.11 代表取締役
青年海外協力隊時代に手書きで配信した「パル通信」、1305号配信した「広報室ニュースレター」など情報発信力が強み。NPOを様々な賞へ導いた実績や企業・NPOの広報室長などの経験を持つ。わかりやすい講演が好評、全国からの依頼は330回。外資系企業管理職から震災を機に退職、起業。メディア出演170回。博士(栄養学)。東京大学農学系(農学部・農学生命科学研究科)広報室会議オブザーバー。


■長浜洋二
PubliCo 代表取締役CEO
かわさき市民しきん評議員/シャンティ国際ボランティア会戦略アドバイザー/NPO法人CRファクトリー コミュニティ・マネジメント・ラボフェロー
1969年山口県生まれ。米国ピッツバーグ大学公共政策大学院(公共経営学修士号)卒。NTT、マツダ、富士通でマーケティング業務に携わる一方、米国の非営利シンクタンクにて個人情報保護に関する法制度の調査・研究、ファンドレイジング、ロビイングなどの経験を持つ。著書に『NPOのためのマーケティング講座』。

■鎌倉幸子
(シャンティ国際ボランティア会 広報課長補佐/認定ファンドレイザー)
青森県弘前市生まれ。アメリカ・ヴァーモント州にあるSchool for International Trainingで異文化経営学の修士号を取得。1999年、シャンティ国際ボランティア会にカンボジア事務所図書館事業課コーディネーターとして現地赴任。2011年に同団体の広報課に異動。広報の仕事と兼務しながら東日本大震災後、岩手県での移動図書館プロジェクトの立ち上げを行なう。著書に『走れ!移動図書館』(ちくまプリマー新書)。

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