“戦略迷子”にならないために、これだけは知っておきたい7つの戦略“流派”。

宣伝会議から発売する『手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略』の著者で、戦略プランナーの磯部光毅氏による、短期コラムを連載します。併存する様々なコミュニケーション戦略・手法を7つに整理し体系化した本書籍の内容を端的に紹介すると同時に、それを仕事に生かす方法を解説します。

最近、「噛み合わない会議」が増えてません?

どうも、はじめまして。
これから数回、コラムを書かせて頂くことになった磯部です。
戦略の面白さ、奥深さを語っていきたいと思っています。

クリエイターの方もたくさん読んでいるアドタイコラムで、表現より、戦略の方が面白いよ!こっちの水は甘いぞー、というタイトルをつけてしまって大丈夫かと、ちょっとドキドキ。でもそんな心配は思い過ごしですよね。多分。
戦略の方が面白い派があまりに劣勢ですから。

でも、僕自身が本気でそう感じています。
特にいまは、ちょうど変わり目だから、戦略が面白い。

僕は戦略プランニングを仕事にして今年で19年目。途中からクリエイティブの部署にも異動したりしていて、いまは戦略領域を中心にしながら広い領域を横断的にプランニングする仕事をしています。

ところで最近感じることがあります。
それは、戦略の会議が年々長くなっているということ。しかも、なんだか議論が噛み合ってないな、と感じることが増えている。

同じ会議の中で、同じブランドの、同じテーマに関して話をしている。ただ、ある人はどんなブランドイメージをつくるかを語っていて、ある人は運用型広告のコンバージョンをどうやって上げるかを語っている。またある人はソーシャルメディアで、どうやってバズを起こすか話している。施策が違うだけでなく、そもそも目指していることが違っていて会話は平行線……。

プレゼンやオリエンもそうです。クライアントからのオリエンどおりに戦略や施策をつくっても、なぜか求められているものと違う。反対にオリエンする側からしても、期待しているものがあがってこない。そんな声をよく聞きます。
これってなんなんでしょう?

議論が噛み合わない理由のひとつは、「戦略ワードの氾濫」にあると僕は思っています。

インサイト、CPA、タッチポイント、ネイティブアド、エクスペリエンス、KPI、CPA、LTV、インフルエンサー、ポジショニング、バイラル、ビジョン、カスタマージャー二ー、USP、コンバージョン、LTV、コンテンツ、、、

ここに挙げたのはほんの一部、それこそ毎年、新しい戦略ワードが生まれていますよね。もちろんそれぞれ重要な概念ではありますが、戦略を専門にしている僕ですら「この言葉とこの言葉、意味違うの?どういう関係なの?」と、わからなくなってしまうくらい(笑)。

つまり、「戦略迷子」になってしまっている。
だから、会議が混沌としてしまう。

「噛みあわない会議」の原因を別の角度から見ていると、それはネットやソーシャルメディアなどによって施策領域が急拡大し、逆にひとりひとりの業務が細分化、タコツボ化しまっていることも挙げられます。

自分はCM制作担当、自分はオウンドメディア運営担当、自分は紙媒体のメディアバイイング担当などというように、それぞれの業務が細分化されて、目の前の業務をこなすので精一杯。その結果、全体像が見えなくなり、本当に必要なことを考える余力がなくなってしまう。言ってみれば「戦略レス」になってしまう、そんな悩みもよく聞きます。

次ページ 「今求められているのは、俯瞰した視点での「戦略論の体系化」」へ続く

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磯部 光毅
磯部 光毅

アカウントプラナー
1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)に転属。2007年独立し、磯部光毅事務所設立。主な仕事に、サントリー「JIM BEAM」「ザ・プレミアムモルツ」「伊右衛門」「伊右衛門特茶」、トヨタ自動車「G's」、ダイハツ「タント」、コーセー、KDDI、Google、味の素、AGF、花王、ティファニー、ブリヂストン、三井不動産、カルビーなど。ブランドコミュニケーション戦略を核に、事業戦略、商品開発からエグゼキューション開発まで統合的にプランニングすることを得意とする。受賞歴にニューヨークフェスティバルズAME賞グランプリ、ACC CMフェスティバル ME賞メダリストなど。著書に『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』(共著、宣伝会議、2013年)、『アジアマーケティングをここからはじめよう』(共著、PHP出版、2002年)、『ニッポンの境界線』(共著、ワニブックス、2007年)がある。

磯部 光毅

アカウントプラナー
1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)に転属。2007年独立し、磯部光毅事務所設立。主な仕事に、サントリー「JIM BEAM」「ザ・プレミアムモルツ」「伊右衛門」「伊右衛門特茶」、トヨタ自動車「G's」、ダイハツ「タント」、コーセー、KDDI、Google、味の素、AGF、花王、ティファニー、ブリヂストン、三井不動産、カルビーなど。ブランドコミュニケーション戦略を核に、事業戦略、商品開発からエグゼキューション開発まで統合的にプランニングすることを得意とする。受賞歴にニューヨークフェスティバルズAME賞グランプリ、ACC CMフェスティバル ME賞メダリストなど。著書に『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』(共著、宣伝会議、2013年)、『アジアマーケティングをここからはじめよう』(共著、PHP出版、2002年)、『ニッポンの境界線』(共著、ワニブックス、2007年)がある。

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