広告主と広告会社がより良いパートナーシップを築くために必要な「4つの変化」

広告主、広告業、メディア、クリエイターと広告界のさまざまなキーパーソンが一堂に会し、マーケティング・コミュニケーションの現在、そして未来について議論する「AdverTimes DAYS(アドタイ・デイズ) 2016」(宣伝会議主催)。今年は「BEYOND~お客さまと向き合おう」をテーマに、4月12日~13日の2日間にわたって開催した。“生活者ファースト”のマーケティングとクリエイティブを考え、行動に移すために、企業内の組織の壁や既存の慣習、これまでの成功体験をいかに超えていくか――。本コラムでは、講演の一部をレポートとして紹介する。


講演者

  • 鈴木 健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

広告主企業は、広告会社とどのようにパートナーシップを築き、成果につなげていくべきか。ニューバランスで国内・外資系広告会社に在籍した経験を生かし、企業と広告会社の新たなパートナーシップのあり方を提唱する講演では、同社で行っている数々のユニークな取り組みが紹介された。

広告のアウトプットの責任の80~90%は広告主にある

—昨今のビジネス環境の変化をどのように捉えていますか。

ニューバランス ジャパン マーケティング部長 鈴木 健氏

ビジネスが発展するにつれて、マーケティング要件が多岐にわたるようになりました。それに伴い、企業内ではIT部門をはじめ、連携すべき部署が多様化して、社内でのコンセンサスが取りにくくなっています。ソリューションが大きいほど、ボトムアップには限界がある。成功している企業の多くはトップダウンで意思決定をしています。今後の企業成長のカギは、経営層がマーケティングをどれだけ理解しているかではないでしょうか。

—そうしたなかで、広告会社が担う役割も広がっています。広告主と広告会社とが、より良いパートナーシップを築くために、どのような変化が必要でしょうか。

受発注の関係ではなく、ともに課題を解決する関係へ大きく4つの方向性があると考えています。

1つ目は、働き方。組織や予算を変えるのは難しくても、時間の使い方は最も変えやすく、効率的かどうか見直すことから始められます。
2つ目は、社内組織とリソースの配分。最近では、デジタルに特化した部門を新設する企業も増えています。新設が難しくても、部署間でどう連携するかを考えることはできるでしょう。
3つ目は、社内組織やリソース配分を考えた上で、パートナーを選定すること。広告主側からすると、パートナーのスイッチングコストは高く、海外でも広告会社のレビューは3年に1回くらいとされています。
4つ目は、報酬とインセンティブ。日本では、コミッション制かフィー制かを決めても、広告主が広告会社に対してそれ以上のサービスを求めてしまうことが多いのが実情です。健全な関係性を築くためにも、どの施策がビジネスインパクトとして大きかったかを広告主が理解する必要があります。

ニューバランスでは、年2回、複数の広告会社とディスカッションをするワークショップを実施しています。また、年1回、年間のレビューミーティングも行っており、広告会社に他社のレビューを聞いてもらっています。さらに、われわれ広告主が広告会社に研修をしてもらう場も設けています。

広告会社がどのように広告を企画・制作しているのかを知ることで、そこから逆算して、より伝わりやすいオリエンをすることができます。広告のアウトプットの責任は80~90%広告主にあります。アウトプットが良くないのは、課題設定やディレクションに難があるケースが多いのです。広告主と広告会社の良いパートナーシップとは、単なる発注・受注の関係ではなく、一緒に課題を解決する関係性を築くことだと考えています。

講演を終えた鈴木さんに、「あなたが目指す、理想のマーケティングチームとは?」をテーマにコメントをいただきました。
AdverTimes DAYS 2016
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