【前回】「AbemaTVはテレビだけどLINE LIVEはテレビじゃないのは、どうして?という話」はこちら
AbemaTVが好調らしい
これは連載ですが、ここ数回は内容的にもかなりつながった記事になっています。そしてなぜかAbemaTVが続けて出てきます。気になってるんでしょうね、いろんな意味で。そして今回は完全にAbemaTVについてです。AbemaTV論の決定版!わかってきたぞAbemaTV!そんな内容になる予定です。
でもいちおう、これまでのあらすじを前々回からおさえておいてもらったほうがいいです。ぜひ下の2つを読んでからこちらに戻ってきてください。
前々回の記事→テレビはもはや「次に何が起こるかワクワクして見るもの」ではなくなっている
前回の記事→AbemaTVはテレビだけどLINE LIVEはテレビじゃないのは、どうして?という話
前回までの記事で私は、AbemaTVは心配だとか、つっこみたくなるとか書きました。でも4月11日のスタートから一カ月の間に、好調ぶりがどんどん伝わってきます。19日にはアプリのダウンロード数が早くも100万を突破し、5月3日には200万に達したそうです。
例えば、TVerは10月26日のサービス開始でダウンロード数100万達成が11月19日、200万は2月25日でした。これだってかなりのものだと受けとめられていたので、AbemaTVは輪をかけて好調だと言えるでしょう。
スタート数日後に熊本の地震が起こったことも、ダウンロード数を急増させたようです。地震がプラスに働いた、と書くと熊本の皆さんに失礼なようですが、テレビが見られない場所でもスマホで見ることができ、被災地でも役に立ったようです。被災地以外でも、外出中に地震を知ってAbemaTVですぐに動画で状況がわかって助かったという人も多いですよね。
ロケットスタートにはそういう偶然もありつつ、200万達成までも短かったのは、視聴者がどんどん広がっていった証だと思います。地震をきっかけに使った人が、これいいねと拡散していったのでしょう。
番組を観ていると、なかなか面白い。テレビでよく見るタレントが、テレビマンによる構成と演出で、テレビ的な華やかさを伴って出てきます。テレビに慣れてる身からすると、ああこれはテレビだなあと感じます。ネットだけどテレビだから、安心して観ることができる。
とにかく気になるAbemaTV。もうこれは実際に見に行くしかない!ということで、月〜金20:00の看板番組『AbemaPrime』のスタジオにおじゃまし、見学してきました。
AbemaTVを立ち上げると、20以上のチャンネルの中のAbemaNewsというニュースチャンネルがまず出てきます。『AbemaPrime』は、そのAbemaNewsを代表する番組。テレビの基本はニュースだ、という考え方の反映のようです。ニュースが真ん中であることは、AbemaTVの重要なポイントだと思います。
『AbemaPrime』はテレビ朝日社屋の1階に新たにオープンした「EXけやき坂スタジオ」を使用しています。六本木ヒルズのアリーナ広場に面していて、ガラス越しに外からスタジオが見えるので「やってる感」が自然と生まれる構造。隣の小部屋にはちゃんと副調整室が機材を持ち込んであつらえてありました。
放送開始40分前のスタジオではリハーサルが進められていました。機材やセットは少々簡易ではありますが、スタッフはテレビ制作のプロたちで、テレビ同様大勢います。
この日は、サイバーエージェントの藤田晋社長がスタジオに来られてました。『AbemaPrime』プロデューサーのテレビ朝日・鎮目博道氏と何やら相談しています。
その様子は、テレビ局の編成の人とプロデューサーが話しているのとあまり変わりありません。現場には、テレビ朝日の制作スタッフと、広報などのためにいるサイバーエージェントのスタッフが入り交じっています。テレビ局とネット企業が一緒に放送をやっている、それがまさに形になっています。
放送が始まりました。『AbemaPrime』は、テレビ朝日の小松靖アナウンサーがメインキャスターで、曜日毎に多彩な出演者がキャスターとして出てきます。それに、放送の様子は次々にフロアDがカンペを出したり、丸きりテレビでした。出て行く先はスマートフォンなわけですが、番組はテレビと変わらない、というよりテレビなんです。
この日はももいろクローバーZがゲストで、外には“モノノフ”たちが大勢ガラス越しに見学に来ていました。そうした華やかさもあって、観ている私もなんだか“楽しい”気持ちに包まれる。そして、ゆるい。たぶんですが、「何かあったらどうしよう」というネガティブチェック的な空気は、まったくない。そこは、テレビと大きく違うのかもしれません。
でもこの「なんだか華やかで楽しい」感じは、80年代90年代の、私のような世代が慣れ親しんだテレビの空気と近いのかもしれません。ひょっとしたら、AbemaTVはその頃のテレビと似ているのかも。
このスタジオへの取材とは別に、藤田社長にもインタビューしました。そのフルバージョンは私のWEBマガジンMediaBorderで読んでもらえますが、その中でこんなことをおっしゃっていました。