海外に出てクリエーティブとして働くということは、実はそんなとんでもなく難しいことではないと僕は思っています。もちろん、言葉の壁やらビザの取得といった現実的なことはありますが、アイデアで勝負できるクリエーティブの世界は、むしろ他のいろんな職種よりもよっぽど生きていける確率が高いと思う。
今回のタイトルにした「不可能なんて、なんてことない」は、なんのコネクションもなしに完全独力で移籍することができた初めての海外エージェンシー、180(ワンエイティー)アムステルダムがアディダスのために作ったタグライン“Impossible is Nothing”を僕なりに訳したものです。180に飛び込んだときは、ほんとまさにそんな気持ちでした。
ロンドンのBBHでリーバイスとのグローバルミーティングに参加した帰り、もうなんだかBBHのプロセスが嫌になってしまって、どこか他のエージェンシーに移籍しようと思い立ちました。ヨーロッパのデザインや文化にすごく惹かれていたので、どこかイギリス以外で英語が通用して面白いモノがたくさん生まれている場所はないかと考えたとき、まっさきにアムステルダムが思い浮かびました。180のほかにもケッセルスクライマーやワイデン+ケネディといった、小さいけど面白いことをしてるエージェンシーが多かったし、何よりDroog(ドローグ)を始めとしたコンセプチュアルデザイン/アートが盛んな場所だったのが理由です。そこで急きょ日本への帰りのフライトの予定を変更して、アムステルダムに行くことに。そしてフライトの間にざっくりポートフォリオサイトを作って(今もまだこのとき作ったサイトを個人サイトにしています)、着いて早々Webで調べたケッセルスと180とワイデンの連絡先に、サイトのURLを記し「作品を見てくれ」という言葉を添えてメールを送りました。
ここで海外を目指す人へのアドバイスとしては、Web上にポートフォリオは絶対作っておいた方がいいということです。しかもそんな難しくないから、できれば自力で。TumblrでもWord PressでもBloggerでもいいので、ともかく簡単にシェアできる形でサイトに作品と略歴はまとめておきましょう。あまり会社の移動が少ない日本では、そんなにポートフォリオサイトを持っていないことが多いようですが、海外では当然のことになっています。(次ページに続く)